リハビリ

好きだったお菓子が甘すぎる。
好きだった料理が脂っこい。
好きだったお酒が物足りない。

好きだった店もあるけれど、
コロナで外出を控えていたせいか、
どこの何が好きだったのか忘れてしまった。

というわけで、最近、何が好きなんだかわからない。
行き詰った時の、「好きなものでリフレッシュ!」ができない。

料理、お酒、インテリア、服、
自分の好きなものって何だっけ、と探しながら生きている。
これが思いのほか楽しい。

ちょっと前の自分なら「いらない」と思っただろうことや、
たいして知りもせずに諦めていたことを試している。

今日はえびしゅうまいを作って食べるんだ。

旗を掲げる

自分が作ったもので、相手がよろこんでくれると嬉しい。
チームで作ったものが、届けたいと願った人に届くと嬉しい。

去年から、相手が欲しいと思っているものを、相手と一緒に作る、ということをやっていた。
お菓子屋さんを営む友人の、吊り下げ旗を作ること。
吊り下げ旗は、かき氷屋さんにあるような、看板代わりの小さな旗。

両面のデザインを私が考えて、刺繍の図案に起こし、表裏を手分けして刺繍することにした。
彼女が刺繍初心者だったので、入門キットを作って、送るところから始めた。
秋に刺し始め、冬になり、春が過ぎ、蒸し暑い日が続くようになった今週。
ついにできあがった。

私は飽き性で、同じものを2回は作らない。
作りたいと思うイメージが先にあって、試行錯誤しながら、新しい技術や作り方を学んで作る。
今回も同じで、作り方は手探りだった。
加えて、初めて、リアルで会ったことのない人と、リモートで、長い時間をかけて、一緒に作った。

モノとして作っていたのは旗だけど、その過程で、関係も作っていたと思いたい。
刺繍が進むたびに、ミーティングで笑いあうたびに、自分が外にひらいていく感じがした。
3年前には考えられなかった景色だ。

彼女はいっぱい「ありがとう」と言ってくれるのだけど、そっくりそのまま私もお返ししたい。
一緒にいさせてくれて、どうもありがとう。

立ちこぎで行く

ジムを再開した。

自転車で10分かけて行き、
音楽を流してストレッチし、
マシンでサクッと筋トレし、
マシンで40分早歩きし、
締めに腹筋運動をしたあと、
汗をデオドラントペーパーで拭き、
自転車で10分かけて帰る。
家でシャワーを浴びて夕食を作る。

今週は体調が思わしくなく、
食事をあまり摂らなかった影響で
タンパク質の摂取も少なく、
筋肉疲労が残りがちだった。

筋肉の再生の代わりに訪れる眠気。
そうそう、筋トレすると眠いんだったと、
数年前の記憶が蘇る。

コロナで行けなくなったジム。
同じタイミングで病気にかかり、
二重の理由で行けなくなったジム。
すっかり回復して、ぷくぷく肥えてきたところで再開したジム。

太れるようになった喜び
絞りたいと思える喜び
「疲れたー!」と思いっきり言える喜びが
自転車を立ちこぎさせる。

勉強、仕事、運動のルーティンで、今年の夏はいそがしそう。

光について

仕事の一環で、マーケティングの勉強をしている。
今準備しているものは実店舗や販売チャネルを作らない、インターネットで完結するものなので、どうしても「SNSをどう活用するか」に頭が行く。

それでいろいろな記事を読んでいる。
流れが速い分野なので、本だと情報が古い。

心構えやテクニック、うまくいった方法の実例を読む。
すごいなーと思う。
バズやフォロワー数アップのための地道な蓄積を、私は否定しない。

が、そういった情報に触れていると、元気がなくなる。
がんばれば伝わる、伝えようとすると伝わる、という前提が、たぶん私と違う。
基本は伝わらない、伝わったらラッキー、と思っているから。
伝えようとしていないというわけじゃなくて、構造的に、言葉の意味は人によって変わるので、メッセージはズレる。
伝えようと思うことは、伝わったとしても、ズレる。

そこに対して、これまでは悲観というか虚無感が強かった。
それが、この数か月、身近な人とコミュニケーションを重ねていくにつれ、「1回で伝えようとするのではなく、何度も、多面的に伝えようとすること」や、「相手の言葉の定義を確認して、すりあわせていくこと」を学んだ。
見える範囲の、近しい人との、時間をかけた関係作りには、希望を感じている。
マスに対して話せなくても、身近な人になら話せる。

考えていて元気が湧くような、手作りの方法を見出せたらいいな。

 

何もかも全て受け止められるなら 何を見ていられた?
誰もがうかれて理解りあったつもりなら それだけでいられた
いつもいつも

光にさらされてゆくこの世界の中 君を見ていられた
涙が流れて聞こえなかったとしても 空に浮かべていこう
いつもいつも
僕らはまだここにあるさ

 

 

小さな学びの集積

メルカリの経験値が爆上がりした1週間だった。

もともと落札者としては使っていたサービス。
初めて出品者になった。
コスメと、小さな家電を計10件。

初心者にとっては、ひとつひとつが初めてのことだ。
梱包はサイズによって資材や方法が異なる。
配送は会社によってフローが異なる。
取り引きが成立したら、落札者とメッセージをやり取りし、すみやかに梱包・発送し、いい評価までこぎつけなければならない。

最初、ひとりで撮った写真を使っていた。
ギリギリまで値下げしても売れなかった。
そこで夫にアドバイスをもらい、カメラの使い方を覚え、綺麗な写真を撮った。
明るさを補正してアップロードしたら、値上げしたのにすぐに売れた。
人に伝えようとするってこういうことなんだなと学んだ。

ヤマトだけを使う予定だったのが、一部、落札者のリクエストで郵便になった。
こちらの記載ミスで、残念な評価が1件ついたこともあった。
お値下げ交渉や、専用のお取り置きにも対応した。
離島には、届くまでかなり時間がかかることも知った。
結果、出品の基本を集中的に経験したことになる。

メルカリ出品を「新しいことへの挑戦」と言うには大げさかもしれない。
だけど、私にはハードルが高いものだったし、始めるには勇気が必要だったし、ガイドラインや他の出品者を参考にしながらとはいえ、試行錯誤の連続だった。
「全体の流れを一通り経験し、勘所を学んだこと」がひとつ増えただけで、誇らしい気持ちだ。