生きるとは自分の物語をつくること

Date
3月, 14, 2018

著者:小川洋子、河合隼雄
出版社:新潮社
発行日:2008年3月1日
形態:文庫

 

どうにも頭を離れない問題がある。言葉でうまく表現できずにいる問題。言葉で整理できたら、それだけで解決してしまいそうな問題。

物語は、問題が解決してから書くものなんだと思ってた。でも問題を解決しようとする手段として、物語を書くこともありなんだって思えた。

私には矛盾がある。かまってほしいけど、ひとりでいたい。前に進みたいけど、立ち止まったり躊躇したりする。方法がわかってて、あとは踏み出すだけなのに、ずっと不平不満をこぼしている。意味付けを自分でしたいけど、自信がないし、人からもらって承認されたいけど、依存的で嫌だ。

今私がなぜ生きているのか。答えがもらえないとわかっているから、自分でつくって、掲げて、進まないといけないってわかってるから、怖い。

意味付けって、物語って、ほんとはほんとは、人からもらいたい。たくさんの人たちからじゃないほうがいい。身近な、大切な人からもらいたい。長編小説じゃない方がいい。書き出しだけもらって、並走しながら、自分で書きたい。

運命論のように、すべてがあらかじめ決まっている話はおもしろくない。でも、なんにもないところから、全部自分でつくるのって大変。

ある書き手と読み手が、次の書き手と読み手に影響し合うような、物語を一緒に書き上げることをしたい。写真家が、デザイナーが、編集者が、自分の視点で世界を切り取るように、書き手だって読み手だって、世界の切り取り・意味付けを自発的に行う。物語を介在にして、相手にふれあうような、そんなことをしたい。