edX C Programming: Getting Started

 

オンラインで世界の大学の授業に参加できる、MOOCs。
有名どころのアカウントはすべてもっていて、人文系の講座をちょこちょこ取っていた。
字幕の有無、音質・画質のよさ、速さ、ツールの使い勝手など様々で、自分に合うものが見つかればすごくいい教材。
受講終了証を発行するのにはお金がかかるけど、必要ないなら無料で受講できる。

 

今年のお盆、サマーキャンプと称して、初めて未知の世界、プログラミングに挑戦した。
プログラミングの考え方を知りたくて。
RubyとかPythonとか、よく聞く言語も候補に入れていたけれど、
夫いわく、何かつくりたいものがあるなら、それをつくるための言語を学ぶべき、
考え方を学びたいならC言語がいいんじゃないかとのことでC言語に。

 

日本語で教材を探したところ、楽しそうなものが見当たらない。
htmlとcssの勉強をしているprogateというオンライン学習サイトには、C言語のプログラムがない。
仕方ないから英語で探す。
edXで評判の高い授業を見つけた。
edX Prize 2019を受賞した「C言語 with Linux」のシリーズ。
Dartmouth CollegeとTelecom ParisTechの共同制作プログラム。
Linuxで、というつもりはなかったけど、夫がLinux好きなので、私も好きになってみようと思った。
https://www.edx.org/professional-certificate/dartmouth-imtx-c-programming-with-linux

 

先生のおふたり。
ビデオは講座の初回のみ、その他はコードを書くツールを使いながら教えてくれる。
https://www.youtube.com/watch?v=TemJrtPjJhE

 

まずは超入門編の C Programming: Getting Startedを受講した。

先生がコードを見せながら教えてくれるツール。
音声と字幕つき。

 

例題の中でいちばん好きだったもの。
「私はこれから森で9マイルのハイキングをする。1マイルごとにヘーゼルナッツを3つ拾う。1マイルごとに合計でいくつヘーゼルナッツをもってるか、表示させましょう」
おしゃれ。

 

自分で解くのがActivityページ。
このActivityのつくりがおもしろくて、毎回心待ちにしていた。
すぐにフィードバックが出るのもいい。

記念すべき私のファーストプログラム。

 

駆け出しなのに、 “You’re a skilled programmer. ” “We need your help.”とか言って、私にいろんなミッションをくれる。
そんなこと言われたらがんばっちゃう。

ある町の町長さんに呼ばれてお仕事。

 

問題文に、太郎と花子じゃなくて、先生たちが出てくるパターン。
フランスの先生がアメリカにやって来るというので、距離がどれくらいあるかを計算して差し上げる。

 

この教材をつくるための訪問に、クッキーのレシピを持ってきたフランスの先生。
華氏のアメリカ、摂氏のフランス、温度の計算しなおさなくちゃということで、私が呼ばれる。
プログラマーっていそがしいな。

 

最終課題と私の回答。成長を感じた。

 

毎日、習ったことのまとめと質問を抱えて夫に話に行った。
2問だけ、どうしてもエラーが出続けるActivityがあって、バグ取りを手伝ってもらった。
それ以外は自分でやった。
オンラインの授業を終えて、”Congratulations!”と言われて泣くとは思ってなかったよ。

がんばった!たのしかった!!
また次もがんばろう。

 

 

ベジエ曲線は突然に

 

画像編集ソフトで、突然ベジエ曲線を引けるようになった。
ぐにゃぐにゃの線しか引けなくて、すっかり諦めていたのに。
なぜ引けるようになったかというと、何がどういう名前で、どういう風に動くのかを勉強したから。
なぜそれができなかったかというと、最初の入り方が「デザイナーに動かし方を見せてもらってそれを真似する」だったからだと気づいた。

「これはね、こうするの。これはこう。うんうん、そうそう、それを続けるとうまくなるよ」と言われて、
「これはこうする。これはこう。うんうん、これを続けるとうまくなる」と信じて、
おおざっぱな動きとディスプレイの画面の記憶を頼りに、マウスを動かしていた。
でもそれは練習と呼べるようなものじゃない。
単に「マウスを触る ⇒ ぐにゃっ」を数回繰り返し、すぐにソフトを閉じていたんだから、
「基礎練習を続けているうちに実は体がコツを覚えていた」みたいなものじゃない。

動きを真似しながら、言葉を介さずとにかくやってみよう、という学び方は私には本当に合ってない。
それを忘れて身体的模写を続けていたら挫折する。
挫折の「どうしようもなかった感」や「諦め」が頭にこびりついたまま消えない。
「名前や構造を勉強したらすぐわかる」という傾向の顔を出す余地が、代わりに消えてしまう。
いつもいつも。
頭の中のこの仕組みを思い出せない、途中で気づけないのもいつも。
だいぶ時間が経って、ふと名前や構造を手に入れて、突然できるようになるのもいつも。

この仕組みのデメリットは、「体を動かしていれば自然とできるようになる学派」の人に怒られること。
自分が「体を動かしていれば自然とできるようになる学派」ではないことを忘れ、できないことに一定期間落ち込むこと。

メリットは、学び方の違いを思い出して問題点を把握し、落ち込みから抜け出せれば、自分のバグっぷりも含めてたのしくなり、対象を好きになれること。
できるようになることが、とてもうれしいこと。

 

あの日 あの時 あの場所で 言語情報なかったら
僕等はいつまでも 見知らぬ二人の まま~

 

 

おもしろがりあい

 

ずっと問題だったことに名前がついた。
専門の人に診てもらったら、ばらばらに存在していたファイルをひとつのフォルダにまとめられた。
外からは普通に見えるし、困っていることの表面だけとらえれば、多かれ少なかれみんなそんなもんだという感じなのだけど、よくよく勉強してみると、中のシステムがなかなか変わっている。
好きなものや趣味、出身地、学校が同じとか、何かの共通点で人に親近感を抱いたことがなかったのに、初めて、似た人が確実にいることに安心感を覚えた。

12月は関連書籍と、先生からもらった資料を読んだ。
直近の診察は、資料でわからなかったところを質問したり、トピックスを話す時間だった。
大学のゼミみたい。
先生:「あなた、典型例とここが違うんだね、おもしろいねえ~」
私もそこをおもしろいと思ってたし、先生もお医者さんっぽくなくておもしろい。

初診につきあってくれた夫が、本を読んだり、意見交換⇔自己分析したりするのも手伝ってくれている。
これも大学のゼミみたい。
夫:「ここに書いてあること、言い得て妙だね、おもしろいねえ~」
生活しやすくなりそうなガジェットをいくつか買って自慢したら、まんまと「僕も欲しい」と言って自分用も買っちゃうところがおもしろい。
私が買う前は「僕には必要ない」って酷評してたのに、宅配便が届く日、早起きしてうきうき待ってるのもおもしろい。
私のスマートスピーカーは(じゃんけんとかで遊んだ結果、学習して)応答に歌を挟む陽気な性格なのに、彼のは(あんまりしゃべりかけないからか)淡々としてておもしろい。

期待や評価じゃなく、あいだに「おもしろい」が来る関係って好きだなーと思った年末年始。

 

 

Salon de Anil: A Beautiful Glider in the Indigo Sky

クィアアイを観るうちに、私もいいかげん見た目のコンプレックスを解決しようと決めた。

 

 

 

クィアアイは、Netflixで配信されているアメリカの人気番組。
ファブ5と呼ばれるゲイの男性5人組が、 “Love Yourself” をモットーとし、悩みを抱える人々(ヒーロー)にセルフケアの方法を教え、彼らの見た目、考え方、人生を変えていく。
セルフケアの領域は次のとおり:

ボビー氏:インテリアデザイン
ジョナサン氏:美容
タン氏:ファッション
カラモ氏:カルチャー(内面へのアプローチ。「勇気を出す」「挑戦する」を後押し。コーチング的要素)
アントニ氏:フード(無理なく料理できるレシピを伝授するなど)

日本の大改造番組や、ファッションチェックコーナーと違うのは、多様性や個々の考え方、ライフスタイルを尊重し、愛情深いところ。
ダサいものはダサいと言うけど、「私は好きじゃない」という言い方にとどめてヒーローの好みを大切にし、相談の結果、部分的に残したりもする。
清潔でないものは一刀両断するけど、なぜそうなったのか、問題の解きほぐしを丁寧に行い、揺り戻しが起こらないように設計する。
宗教、政治、人種差別、セクシャリティといったトピックについては当たり前に出てきて、よく意見交換が行われる(そしてテレビ的な安易な結論、解決で終わらない)。

ファブ5がヒーローを受け入れること、ヒーローが自分自身を受け入れること、ヒーローがファブ5を受け入れること。
ファブ5が社会を受け入れること、社会がファブ5を受け入れること。多様性を受け入れること。

 

“Our fight is for acceptance.”
僕らが目指しているのは「受容」なんだ。
– Tan France  (https://www.youtube.com/watch?v=7sPk6eay6Qg)

 

私は料理と部屋を自分でつくれる。
頭を使うことが好きで、仕事で研修やワークショップをつくっていたこともあるので、カラモ要素はわりとある。
髪はいつもお世話になっている美容師さんがいて、夫婦共々信頼しているのだけど、メイクや服の相談は今さらな感じがして気恥ずかしい。
似合う服とメイクをトータルで学んで、自分を好きになりたい。
必要なのはタン+ジョナサンということで、イメージコンサルティングを受けることにした。

 

 

初めて行く類の店。
検索で出てきた無数の情報。
選り好む術がない。
自分で考えられる、自分の言葉がある、柔軟な人に出会うにはどうすれば。

ブランディングの仕事をしていたこともあるので、つい店の門構え=オフィシャルサイトやSNSの様子を見比べてしまう。
見た目に関する業界なのに、美容室とは違って、見た目に説得力のあるウェブサイトをもたない人が多い印象。
ウェブサイトがしっかりしてないと検索しづらい。
ブログ形式で基本情報がわかりにくいとか、絵文字や色づかいが読みにくいとか、インスタのダイレクトメールしか連絡手段がないとかではエア門前払い。
誰に、どういうものを届けたくて、どんなふうに学び続け、かつ自分の専門分野以外のところにも目を向けているんだろう、と考えて沼にはまる。

お金をかけたリッチなサイトなら即決かというと、そうでもない。
アウトソース先の、よりよく魅せることが仕事の人たちは、クライアントをよりよく魅せる。
ちょうどよいブランディングは難しい。

オフィシャルサイトをもっている、ちょうどよいブランディングをしている人に頼もうと軸を決めた。
経営者の意図を読み取ろうとして、文章や写真などを手がかりに、よくあるパッケージ以外の要素を探す。

 

 

ふと開いたウェブサイト。
ページをぽちぽちクリックしていく。
屋号はSalon de Anil(サロン ド アニール)。
わからない単語は辞書を引く。
あまり一般的でない単語を選んでいるということは、必ず意図がある。

 

anil
【植物】ナンバンコマツナギ(Indigofera anil)≪西インド諸島産マメ科コマツナギの類の植物;かつてはこれから藍(indigo)を採った≫  

– 研究社 新英和辞典 第6版

 

おや?とプロフィールページに戻る。ビンゴ。イメージコンサルタントのお名前に「藍」が入っていた。

 

そういえば、ロゴやウェブサイトのメインカラーは薄紺、藍色である。
藍色が見えるようになった瞬間に、私はここに申し込んじゃうだろうなと思った。

 

パーソナルカラー診断は、自然光やそれに準じる環境が大切。
自然光の入るサロンと書く代わりに、自然光のもとでお客さんと対峙している写真を載せていた。
コンサルタントは紺色のニットを着ていた。
サロンのロゴは、直線と曲線が共存するデザイン。
インスタグラムに移り、実際の事例写真を見た。
レッスンの効果がてきめんなことを、ビフォー・アフターのジャンプ具合から知った。
全体的に写真のカラーマネジメントが整っていたことと、文章の感じから、ウェブサイトを自分でつくったにせよ、外に出したにせよ、藍色はご自分で指定なさったのではないか、紺ニット着用は意図的ではと推測した。
場所、レッスンメニュー、値段も私にとってはちょうどよかった。
それまでぐずぐずしていたのが嘘のように、さくさく手際よく、申し込みメールを打った。

 

 

レッスンが始まってしばらくは、お互いのことを話して知り合った。
いきなりの理論的なレッスンよりは好きだった、レッスンや見た目へのアプローチはあくまでも手段だから。
流れで藍色の話をしたら、コンサルタントの坂東藍子さんは「そこに気づいてくれた人は初めてです」とうつむいて目尻を拭いた。
ウェブサイトは外注だが、藍色の指定と紺のニットは、自分で考えたとおっしゃった。
たかがウェブサイト、されどウェブサイト。ファーストコンタクトはウェブ上が限界。そこでどれだけ意味を持たせられるか、表現できるか。
世界観や思想、意図をもってものづくりしている人に惹かれると話したら、元メーカー勤務という共通項もあって、ふたりでやたらと盛り上がってしまった。
私がどんなことを大切にしているか、どう表現したいと思っていて、何がうまくいかないか、どこに助けが欲しいかをしっかりと聴いてくださった。
コアな部分の共有に時間をかけていただいた分、具体的なアドバイスの意図をよく理解することができた。
私はなぜそうなるのかを理解できると、よく記憶できるし、楽しく応用できる。

 

だいぶ勇気を出して行った緊張で気づかずにいたけど、長く勤めていた場所から独立して自営するのだって大きな勇気が要る。
自分で考えて、自分の言葉を紡ぎ続けるのにもエネルギーが要る。
お金を出してそれっぽいものを買って済ますでもなく、思考停止するでもなく、細かいところまでというか、細かいところから自分なりの意味づけを積み上げて仕事をつくっている方だと思った。

 

いつだってそうやって頑張って考えて 探してきたじゃないか
いっぱい間違えて迷って でも全て選んでいくしかなかったグライダー
雨雲の中
– beautiful glider, BUMP OF CHICKEN

 

小さなことをいちいち気にしてしまう自分を面倒くさいと思う。
反面、細部に宿る意図に気づくと、その日1日中機嫌よくいられる自分も実は好き。
藍色や意味づけの話を伝えたら、思いのほか喜んでもらえたという出来事。
レッスンの「似合う」理論とは違う形で、私の存在を肯定してくれた。

 

 

昔、言語学の授業で、ものと名前の結びつきには必然性がないと学んだ。
実体と意味づけの関係は絶対的なものじゃない。
意味は絶対的なものじゃないから、つくることができる。
よりよく更新することもできる。
特別な愛情を込めたり、人と共有し、互いの解釈を含めたりもできる。

私は、言葉は比較的得意だけど、形、色、空間、配色などにはうとい。
苦手なりにも使える、言葉以外の意味づけの術を教えてもらえて、とても感謝している。
この形よりあの形、こっちの色よりそっちの色と、自分で意味づけして選択できるようになった。
型をはずすときも、はずす選択ができる。
足し算、引き算、バランス調整を楽しくやれるようになれてうれしい。
紺のニットに気づいて信じたことは、2019年のファインプレーオブザイヤーである。

次は自分を信じる番。

 

いつだってそうやって頑張って考えて 探してきたじゃないか
疑った手で掴んで 大切に信じるしかなかったグライダー
雨雲の中

夜明け前

 

 

 

 

おまけ:Salon de Anil の楽しみかた(夏ver.)

1. Netflixでクィアアイを観る。見た目のケアが心に及ぼす影響を知る。
2. ずるずる持ち続けていたコンプレックスを手放すと決める。
3. https://www.salon-de-anil.com にアクセス。
4. ウェブサイトの藍色を確認する。
5. プロフィールでお名前を確認する。
6. 紺色ニットを確認する。
7. インスタで事例を確認する。
8. 思い切って申し込む。
9. 前日の準備でわくわくする。
10. 楽しみでやや寝不足になる。
11. 残暑厳しい日、ちょっと歩いただけでも汗が流れてうんざりする。
12. (最寄駅からサロンまでは徒歩圏内だけど、暑いので)タクシーに乗る。「お客さん、今日は僕に会えてラッキーですね」と言う運転手さんに、自己肯定感の眩しさを教わる。
13. 藍子さんのキラキラ感にひるむ。
14. 涼しくて爽やかなサロンによろこぶ。
15. お話をする。
16. 紺色ニットが決め手で来たと伝える。
17. パーソナルカラー診断、骨格診断、顔タイプ診断、メイクレッスンを受ける。
18. たまに時計を見て、「あっというまだ……」と嘆く。
19. ベストショットを求めてスマホカメラで撮られまくる。スマホで隠れた顔から藍子さんの眉がひょこひょこ見えて、吹き出すのを耐える。
20. 緊急メンテナンスが施された障子を見つけて和む(お子さん4人いらっしゃる)。
21. おもしろくて帰りたくないけど、泣く泣く帰る。
22. もらった学びをまとめなおす。
23. 実践する。楽しむ。

 

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うやうやしい記憶

わすれたくないときは、わすれられないように仕向ける。

 

普段は、単語カードの片面に英語の綴り、裏に日本語の意味をさっと書くやり方でだいたい覚えられる。ただ、似た意味の単語がたまたま同じ週に続出したりすると頭に入らない。たとえば「綴りA=つまずく」「綴りB=つまずく」「綴りC=つまずく」に、つまずいて転ぶ。

 

記憶しにくいとわかった時点で、調べなおしたり別の辞書を使ったりする。電子辞書だと横断検索をかけられて便利。ニュアンスや語源の情報を加えると、言葉は格段に覚えやすくなる。

 

のはずが、この日は道のりが違った。「squit=目を凝らして見る」を覚えられずに調べなおしたら、「squit=役立たず」と出た。数日間、寝食を共にしてきた「squit=目を凝らして見る」のカード。周辺情報を知りたくて辞書を引いたのに、不意に前提を覆されて頭が「???」となる。ここはどこ、あなたはだれ?

 

結局「目を凝らして見る=peer」の類語検索で、squint のスペルミスだとわかった。

 

よく見ろよと言われ続けて、無視してて、今さら気づいた役立たず。
この流れとセットでうやうやしく格納された squint。