Salon de Anil: A Beautiful Glider in the Indigo Sky

クィアアイを観るうちに、私もいいかげん見た目のコンプレックスを解決しようと決めた。

 

 

 

クィアアイは、Netflixで配信されているアメリカの人気番組。
ファブ5と呼ばれるゲイの男性5人組が、 “Love Yourself” をモットーとし、悩みを抱える人々(ヒーロー)にセルフケアの方法を教え、彼らの見た目、考え方、人生を変えていく。
セルフケアの領域は次のとおり:

ボビー氏:インテリアデザイン
ジョナサン氏:美容
タン氏:ファッション
カラモ氏:カルチャー(内面へのアプローチ。「勇気を出す」「挑戦する」を後押し。コーチング的要素)
アントニ氏:フード(無理なく料理できるレシピを伝授するなど)

日本の大改造番組や、ファッションチェックコーナーと違うのは、多様性や個々の考え方、ライフスタイルを尊重し、愛情深いところ。
ダサいものはダサいと言うけど、「私は好きじゃない」という言い方にとどめてヒーローの好みを大切にし、相談の結果、部分的に残したりもする。
清潔でないものは一刀両断するけど、なぜそうなったのか、問題の解きほぐしを丁寧に行い、揺り戻しが起こらないように設計する。
宗教、政治、人種差別、セクシャリティといったトピックについては当たり前に出てきて、よく意見交換が行われる(そしてテレビ的な安易な結論、解決で終わらない)。

ファブ5がヒーローを受け入れること、ヒーローが自分自身を受け入れること、ヒーローがファブ5を受け入れること。
ファブ5が社会を受け入れること、社会がファブ5を受け入れること。多様性を受け入れること。

 

“Our fight is for acceptance.”
僕らが目指しているのは「受容」なんだ。
– Tan France  (https://www.youtube.com/watch?v=7sPk6eay6Qg)

 

私は料理と部屋を自分でつくれる。
頭を使うことが好きで、仕事で研修やワークショップをつくっていたこともあるので、カラモ要素はわりとある。
髪はいつもお世話になっている美容師さんがいて、夫婦共々信頼しているのだけど、メイクや服の相談は今さらな感じがして気恥ずかしい。
似合う服とメイクをトータルで学んで、自分を好きになりたい。
必要なのはタン+ジョナサンということで、イメージコンサルティングを受けることにした。

 

 

初めて行く類の店。
検索で出てきた無数の情報。
選り好む術がない。
自分で考えられる、自分の言葉がある、柔軟な人に出会うにはどうすれば。

ブランディングの仕事をしていたこともあるので、つい店の門構え=オフィシャルサイトやSNSの様子を見比べてしまう。
見た目に関する業界なのに、美容室とは違って、見た目に説得力のあるウェブサイトをもたない人が多い印象。
ウェブサイトがしっかりしてないと検索しづらい。
ブログ形式で基本情報がわかりにくいとか、絵文字や色づかいが読みにくいとか、インスタのダイレクトメールしか連絡手段がないとかではエア門前払い。
誰に、どういうものを届けたくて、どんなふうに学び続け、かつ自分の専門分野以外のところにも目を向けているんだろう、と考えて沼にはまる。

お金をかけたリッチなサイトなら即決かというと、そうでもない。
アウトソース先の、よりよく魅せることが仕事の人たちは、クライアントをよりよく魅せる。
ちょうどよいブランディングは難しい。

オフィシャルサイトをもっている、ちょうどよいブランディングをしている人に頼もうと軸を決めた。
経営者の意図を読み取ろうとして、文章や写真などを手がかりに、よくあるパッケージ以外の要素を探す。

 

 

ふと開いたウェブサイト。
ページをぽちぽちクリックしていく。
屋号はSalon de Anil(サロン ド アニール)。
わからない単語は辞書を引く。
あまり一般的でない単語を選んでいるということは、必ず意図がある。

 

anil
【植物】ナンバンコマツナギ(Indigofera anil)≪西インド諸島産マメ科コマツナギの類の植物;かつてはこれから藍(indigo)を採った≫  

– 研究社 新英和辞典 第6版

 

おや?とプロフィールページに戻る。ビンゴ。イメージコンサルタントのお名前に「藍」が入っていた。

 

そういえば、ロゴやウェブサイトのメインカラーは薄紺、藍色である。
藍色が見えるようになった瞬間に、私はここに申し込んじゃうだろうなと思った。

 

パーソナルカラー診断は、自然光やそれに準じる環境が大切。
自然光の入るサロンと書く代わりに、自然光のもとでお客さんと対峙している写真を載せていた。
コンサルタントは紺色のニットを着ていた。
サロンのロゴは、直線と曲線が共存するデザイン。
インスタグラムに移り、実際の事例写真を見た。
レッスンの効果がてきめんなことを、ビフォー・アフターのジャンプ具合から知った。
全体的に写真のカラーマネジメントが整っていたことと、文章の感じから、ウェブサイトを自分でつくったにせよ、外に出したにせよ、藍色はご自分で指定なさったのではないか、紺ニット着用は意図的ではと推測した。
場所、レッスンメニュー、値段も私にとってはちょうどよかった。
それまでぐずぐずしていたのが嘘のように、さくさく手際よく、申し込みメールを打った。

 

 

レッスンが始まってしばらくは、お互いのことを話して知り合った。
いきなりの理論的なレッスンよりは好きだった、レッスンや見た目へのアプローチはあくまでも手段だから。
流れで藍色の話をしたら、コンサルタントの坂東藍子さんは「そこに気づいてくれた人は初めてです」とうつむいて目尻を拭いた。
ウェブサイトは外注だが、藍色の指定と紺のニットは、自分で考えたとおっしゃった。
たかがウェブサイト、されどウェブサイト。ファーストコンタクトはウェブ上が限界。そこでどれだけ意味を持たせられるか、表現できるか。
世界観や思想、意図をもってものづくりしている人に惹かれると話したら、元メーカー勤務という共通項もあって、ふたりでやたらと盛り上がってしまった。
私がどんなことを大切にしているか、どう表現したいと思っていて、何がうまくいかないか、どこに助けが欲しいかをしっかりと聴いてくださった。
コアな部分の共有に時間をかけていただいた分、具体的なアドバイスの意図をよく理解することができた。
私はなぜそうなるのかを理解できると、よく記憶できるし、楽しく応用できる。

 

だいぶ勇気を出して行った緊張で気づかずにいたけど、長く勤めていた場所から独立して自営するのだって大きな勇気が要る。
自分で考えて、自分の言葉を紡ぎ続けるのにもエネルギーが要る。
お金を出してそれっぽいものを買って済ますでもなく、思考停止するでもなく、細かいところまでというか、細かいところから自分なりの意味づけを積み上げて仕事をつくっている方だと思った。

 

いつだってそうやって頑張って考えて 探してきたじゃないか
いっぱい間違えて迷って でも全て選んでいくしかなかったグライダー
雨雲の中
– beautiful glider, BUMP OF CHICKEN

 

小さなことをいちいち気にしてしまう自分を面倒くさいと思う。
反面、細部に宿る意図に気づくと、その日1日中機嫌よくいられる自分も実は好き。
藍色や意味づけの話を伝えたら、思いのほか喜んでもらえたという出来事。
レッスンの「似合う」理論とは違う形で、私の存在を肯定してくれた。

 

 

昔、言語学の授業で、ものと名前の結びつきには必然性がないと学んだ。
実体と意味づけの関係は絶対的なものじゃない。
意味は絶対的なものじゃないから、つくることができる。
よりよく更新することもできる。
特別な愛情を込めたり、人と共有し、互いの解釈を含めたりもできる。

私は、言葉は比較的得意だけど、形、色、空間、配色などにはうとい。
苦手なりにも使える、言葉以外の意味づけの術を教えてもらえて、とても感謝している。
この形よりあの形、こっちの色よりそっちの色と、自分で意味づけして選択できるようになった。
型をはずすときも、はずす選択ができる。
足し算、引き算、バランス調整を楽しくやれるようになれてうれしい。
紺のニットに気づいて信じたことは、2019年のファインプレーオブザイヤーである。

次は自分を信じる番。

 

いつだってそうやって頑張って考えて 探してきたじゃないか
疑った手で掴んで 大切に信じるしかなかったグライダー
雨雲の中

夜明け前

 

 

 

 

おまけ:Salon de Anil の楽しみかた(夏ver.)

1. Netflixでクィアアイを観る。見た目のケアが心に及ぼす影響を知る。
2. ずるずる持ち続けていたコンプレックスを手放すと決める。
3. https://www.salon-de-anil.com にアクセス。
4. ウェブサイトの藍色を確認する。
5. プロフィールでお名前を確認する。
6. 紺色ニットを確認する。
7. インスタで事例を確認する。
8. 思い切って申し込む。
9. 前日の準備でわくわくする。
10. 楽しみでやや寝不足になる。
11. 残暑厳しい日、ちょっと歩いただけでも汗が流れてうんざりする。
12. (最寄駅からサロンまでは徒歩圏内だけど、暑いので)タクシーに乗る。「お客さん、今日は僕に会えてラッキーですね」と言う運転手さんに、自己肯定感の眩しさを教わる。
13. 藍子さんのキラキラ感にひるむ。
14. 涼しくて爽やかなサロンによろこぶ。
15. お話をする。
16. 紺色ニットが決め手で来たと伝える。
17. パーソナルカラー診断、骨格診断、顔タイプ診断、メイクレッスンを受ける。
18. たまに時計を見て、「あっというまだ……」と嘆く。
19. ベストショットを求めてスマホカメラで撮られまくる。スマホで隠れた顔から藍子さんの眉がひょこひょこ見えて、吹き出すのを耐える。
20. 緊急メンテナンスが施された障子を見つけて和む(お子さん4人いらっしゃる)。
21. おもしろくて帰りたくないけど、泣く泣く帰る。
22. もらった学びをまとめなおす。
23. 実践する。楽しむ。

 

名古屋 愛知 三重 岐阜 パーソナルカラー診断 骨格診断 顔タイプ診断 イメージコンサルタント おすすめ

 

 

うやうやしい記憶

わすれたくないときは、わすれられないように仕向ける。

 

普段は、単語カードの片面に英語の綴り、裏に日本語の意味をさっと書くやり方でだいたい覚えられる。ただ、似た意味の単語がたまたま同じ週に続出したりすると頭に入らない。たとえば「綴りA=つまずく」「綴りB=つまずく」「綴りC=つまずく」に、つまずいて転ぶ。

 

記憶しにくいとわかった時点で、調べなおしたり別の辞書を使ったりする。電子辞書だと横断検索をかけられて便利。ニュアンスや語源の情報を加えると、言葉は格段に覚えやすくなる。

 

のはずが、この日は道のりが違った。「squit=目を凝らして見る」を覚えられずに調べなおしたら、「squit=役立たず」と出た。数日間、寝食を共にしてきた「squit=目を凝らして見る」のカード。周辺情報を知りたくて辞書を引いたのに、不意に前提を覆されて頭が「???」となる。ここはどこ、あなたはだれ?

 

結局「目を凝らして見る=peer」の類語検索で、squint のスペルミスだとわかった。

 

よく見ろよと言われ続けて、無視してて、今さら気づいた役立たず。
この流れとセットでうやうやしく格納された squint。

 

 

ピリオドを打つ

僕が何かを書くときは、大体自分の中の何かを終わらせるために書いている。

言語化には、その対象を終わらせる効果がある。

pha 『知の整理術』 p.195, p.201

 

 

父が死んだ。私と妹は実家と距離をおいてしばらく経つ。だから連絡はすべての事後に来た。私たちはいい娘じゃなかったし、いい家族でもなかった。この先叶える機会も消えた。

父を「ひたすら子どものために生きた人だ」と周りは言うが、家の外と中では見えるものが違う。話すべきことを話さず、問題を先延ばしにし、見栄を張り、大酒を飲み、荒れ、母といがみあっていた。

母を母と呼ばなくなって久しい。甘える子を抱き寄せるような、「お母さん」の牧歌的なイメージを身にまとうのは好きだったが、何か問題が起きたり、子が従わなかったり自分の意見を言ったりすると、思いどおりになるまで暴れた。家出や投身、離婚、時には刃物を持ち出して脅し続けた。「お母さんは悪くないよ」と言われたがった。私が大人になれば、社会に出れば、家族をもてば彼女の苦しみを理解することもできると思っていたが、軽蔑は増すばかりだった。どんな思い出を振り返っても、難しいこと、責任を伴うことは人任せ。彼女は自分が楽になることしか考えてなかった。

勉強がそこそこ得意で、世間的にいいと言われる学校を出た私たちを、両親は外に対して自慢した。私たちが家を出たかったのはとにかく身を守るためだったことを、知っていたんだろうか。いろいろなことを学んで力をつければ、家の問題を解決できるはずと信じていたことは、きっと知らない。

いくら目的を考える力、問題解決の力、言語化の力を伸ばしても意味がなかった。彼らは変わることを望まず、長年の姿勢を崩さなかった。「変わってほしい」と言うのでは「私は悪くない」と返されるに決まっているので、小さなステップから「いっしょにやっていこう」と切り出したにも関わらず。私たちはできるかぎりのことをして、自分が壊れる手前で連絡を絶った。

会社に入ってから、変えない、変わらないことを求める人が多数派なんだと知った。そこでいよいよ、私は本質的な変化や変革を求める人間だと自覚した。最初はわかりやすく敵対されたが、目指すものをもち、頭と手足を動かし続ければ、言葉の限界をわかったうえで諦めず言葉を尽くそうとすれば、少しずつでも変えていけるものがあった。周りで信頼していた人は皆、自らも変わろうとする人たちだった。失敗しても次改善すればいいとか、気張り過ぎずに笑うとか、目的を共有した人たちと協力するとか、仕事の節々がいちいちまぶしかった。

 

死後の手続きで、初めて司法書士さんにお世話になっている。面倒だと思っていたものの、いざ各書類の意味や流れ、ポイントを調べ始めたら、会社にいたときの「『人事関連の書類について、法務部とミーティングするための準備』に似てる!」となった。私の担当業務のことは私の責任なんだから、相手が専門家でも丸投げせず、よく考えて整理整頓したあと、助けが必要な箇所をピンポイントで明らかにしておかないと。言語、とりわけ比喩を研究していたのがここで効く。イメージや仕組みが似ているのに気づくと、さっきの面倒くささはどこへやら、状況を楽しめる自分に変わる。

いい娘ではなかったなりのサバイバル術を身につけた、と言葉にしたら、「いい娘になれなかった」と思い出して泣く日々が終わった。両親、親戚の人たち、奨学金のおかげで、私たちはすばらしい教育を受けた。直接何かを返すことはできないが、心から感謝している。迷惑をかけず自分の人生を元気にまっとうすることで返したい。

与えてもらった環境のおかげで、私と妹は学ぶことが好きだ。それは学問に励む、資格の勉強をするといった狭い意味じゃない。学ぶとは、全然できないこと、うまくやれないこと、欠落していること、誤ったことを認めて、どうしたら少しでもよくなるか、自分で考えて、やっていくこと。面倒だったり、難しかったり勇気が必要だったりする中でも、自分で情報を集めて、考えて、理解して、選択して、動く、他者と話す、結果を受け入れること。その過程でたくさん泣いたし、落ち込んだし、いらいらしたし、体を壊すこともあったから、たぶんこの先もそうだろうと思う。でもできるだけ自分の感情に責任をもちたい。いい娘にはなれなかったけど、いい人間にはなりたい。ささやかでも毎日前進して、変わっていきたい。

ずっと穴があいていた「何のために学ぶか」の解を導き出せて、よーしがんばるぞという気持ちになっている。

 

 

Photo by Carlos Alberto Gómez Iñiguez on Unsplash

 

 

2018年ふりかえり あれこれトップ3

アンラーニングの1年。がんばったこと、つくったものなど。

 

総括
今年は「アンラーニング」の年と決めていて、そのとおりの年にできた。

unlearning :いったん学んだ知識や既存の価値観を批判的思考によって意識的に棄て去り、新たに学び直すこと。日本語では「学習棄却」「学びほぐし」などと訳される。

2017年に体を治している時、この10年の思考の癖に気がついた。奨学金を借りて上京してから、留年しないように大学に通い、知っている人がいない土地で就職し、ひとりで海外に行って仕事をして、異動・転職するまでの間、自立やお金に固執して、不安を動力に、「お金や将来のことを考えてやっておいたほうがいいかも」「人に合わせて、期待されていることをやろう」と強く考える傾向があった。動けるようになってきた2018年の初めもそう考えていた。考えようとしなくても、頭が自然とそっちに行っていた。

そんな私を見かねて、夫が「不安から始めることの一切に反対」と言った。的確な助言だったと思う。あのまま働き続けても、稼いだお金を握りしめて病院に通い、お先に墓場へ行くだけだった。

とにかく自分と向き合うことに集中させてもらった。何が好きで嫌いか、何を作りたいか、作りたくないか、何を新しく学びたいか、何を維持すべきで、何を修正すべきか。どんなパターンが、どんな原因から生じているか。エネルギッシュ、ではないのでゆっくりと、たまに体調を崩しながら、ウェブサイト構築とジム通いを軸に、年初に望んだ習慣を作った。

たぶんこういうことは、つまり自分の心と体作りは、思春期から学生時代にかけて済ませておくべきことなんだろうと思う。私は別件で忙しくて、それどころじゃなかった。だから今さらだけど、今やらなきゃいけない。それが君の今の仕事なんだと、昔同様応援してくれて、何なら昔より嬉しそうな夫に感謝する。

 

■よくがんばったことトップ3
1位:ウェブサイト立ち上げ
自由度が高いということは、細かいところまで自分で決めなければならないということ。テンプレートがあっても、設定は白紙のところからひとつずつ決めていく。何が必要で、不要なのか。飽きないか。私が使いやすいか。来訪者が使いやすいか。諦めそうになりながらも一旦考え尽くせたこと、かつ実現の術を知れたことは、いつもと頭の使い方が違って鍛えられた。

2位:翻訳 (ヴァージニア・ウルフ「クラフツマンシップ」)
「訳し終わった!」と思ってからがスタート。ラスボスを倒したと思ったらラスボスじゃなかった、ということがそれはそれは繰り返し起こった。おかげで何十回も読んだし、深く読んだし、周辺情報も調べられた。ハイライトはこの部分:

伝記作家が、有益で大切な事実を伝えなければならない時、例えば「1892年、オリバー・スミスは大学で三等級だった」という事実を伝えなければならない時、彼はそれを表現するのに、5という数字の上に0をつけた記号を使うでしょう。小説家なら、「ジョンは呼び鈴を鳴らした。しばらくしてメイドがドアを開け、『ジョーンズさんは外出なさっています』と言った」という話を伝えなければならない時、読み手の利益と自身の満足を考慮し、メイドのそっけない言い草を言葉ではなく、3という数字の上に大文字のHをつけた記号で表現するでしょう。

“with a hollow 0 on top of the figure five” と “a capital H on top of the figure three” の訳出に、2週間もかかってしまった。作者が作った架空のイディオムなのだが、それが架空との注釈もないので、ネイティブなら知っているようなイディオムなのかと思ってものすごく調べた。結果、海外の知恵袋のようなサイトで、イタリア語のユーザーが私と同じ箇所で同じように悩んでいるのを見つけた。英語のユーザーが明るくフレンドリーに、「架空だからそのままでOKだよ!」と回答している。国境を越えて悩んだ友、助けてくれた友!勝手に一生忘れない!ありがとう!!!

ちなみに、名古屋外大で柴田元幸先生にお会いした際に、こういう困り方(作者が亡くなっている+現代じゃない+比較的マイナーで研究文献が少ない)をした時にはどうするのかと質問することができた。「大学内や各国にネットワークがあり、常日頃から助け合っている」とのお話をいただいた。

3位:本棚作り
本当に好きな本だけを集めて、かつ、効果的なカテゴライズで並べた本棚を作れた。長らく、本のサイズでざっくり収納するだけだったところを、試しにジャンルで大項目を決めて振り分けてみて、ボリュームがあるところは中項目に分けてみた。あーでもないこーでもないと言いながら何度も出し入れし、必要のない本を抜き出し、全体のバランスを整えたら、どの本も生き生きと輝くようになった。呼応してこちらもわくわくする。書店員になった気分。本棚作りの奥深さを垣間見た。

 

■多くの方々に読んでいただいた記事トップ3
1位:スタートレック お近づきプログラム
スタートレックおたくの夫と、その熱量に引き気味の妻。8年の壁を越える、愛と勇気と成長の記録。2018年夏の自由研究。

Twitter、Facebook、はてなの順でシェアいただき、Googleのおすすめ記事にも入れていただき、広く読んでいただけた。拡散の勢いがすごくて、「初心者が何を言ってるんだ」と怒る人も出てくるんじゃないかと冷や冷やしていたが、私の目に入ってくる限り、みなさん好意的なコメントだった。当たり前と言えば当たり前だけど、何かを好き、と伝える記事は、その何かを好きな人の間でシェアされていくんだな、と思った。何かを好きなことを、その何かを好きでない人に伝えるのは、本当に難しい。好きでない人に、好きになってほしいのに、こんなにすばらしいのに、うまく伝わらないという気持ちが、シェアしてくださった方々の中にちらほら見えた気がした。

2位:【翻訳】ヴァージニア・ウルフ「クラフツマンシップ」
翻訳が他にないからか、「ウルフ クラフツマンシップ」の検索結果でトップゆえ、来訪いただけている様子。

3位:無印の絵本ノートでつくる旅のしおり
当初は別のタイトルだったが、私の記事の中では珍しく「お役立ち系」かと思い、検索流入用に改題した。勉強になった。Google Analyticsを入れてないので詳細はわからないが、ぽつぽつ読んでいただいているよう。

 

■読めてよかった本トップ3
1位:『退屈をぶっとばせー自分の世界を広げるために本気で遊ぶ』
ぶっちぎり。あこがれのオライリーの本を買える日が来るなんて(技術系の出版社なので普段は縁がないのだが、本作りの思想が好きで追いかけていた)。

2位:『それがぼくには楽しかったから』
3位:『なるほどわかった コンピューターとプログラミング』
好きな人が好きなものの歴史を知るのが楽しいと、この本とスタートレックで感じた。マイクロヒストリーは、もっと読みたい切り口。

あまり小説を読めなかったので、来年はもっと。

 

■買ってよかったものトップ3
1位:Lenovo X260
キーボードを愛している。

2位:dretec タイマー T-544WT
ポモドーロテクニックのために購入。多機能のスマホよりも、単機能で、ボタンの感触がわかる道具を個々にもつ方が好き。残り10分や5分を知らせるアラームが鳴らない。自立する、文字も見やすい、文句なし。

3位:ニールズヤード アーモンドオイル
スキンケアの最後に、ラベンダーとゼラニウムのエッセンシャルオイルを混ぜたものを使っている。つるつるもちもち、にきびできない、かゆくない。

 

■鍛えた筋肉トップ3
1位:ハムストリングス(太もも裏面)
2位:大腿四頭筋(太もも前面)
3位:大殿筋(お尻表面)
6月から始めた筋トレ+有酸素運動。「大きな筋肉」を重点的に鍛えた。太くなるのかと思いきや、きつくなっていたスキニーパンツが緩くなるくらい、脂肪と筋肉が入れ替わって引き締まった。何度「(弱々しい)じゅんこが筋トレ?笑」と言われたことだろう。私も笑ってしまうよ、わかりやすく効果が出たからね。

ただ、鍛え始めたからって強くなったと過信するのはよくない。インストラクターさんも話していたように、筋トレ直後は体のエネルギーが筋肉の超回復に使われるため、体調を崩しやすい。もっと気をつけないと。

 

■おいしくできた干物トップ3
1位:いか
2位:紅鮭
3位:鱈
丁寧でナチュラルな暮らしにこだわりたいんじゃないのだ。おいしいものを簡単に手頃な値段で作りたいのだ。スーパーでさばいてもらい、塩麹を塗り、ラップでくるんで2~3日冷蔵。洗い流して、干し網に入れて半日干せば出来上がり。ぷりっぷりでおいしい。お弁当の定番おかず。夜のつまみにも。すばらしい。

 

■よくつぶやいた名詞トップ3
1位:言葉
2位:夫
3位:本
登録だけ2011年にしていて、今年からつぶやき始めたツイッター。テキストデータを簡易テキストマイニングにかけた結果は、意外じゃない。ツイートもいいねも、月や1年の振り返りに役立つとわかったので、来年も引き続き活用していきたい。

 

 

2019年は、学習習慣と運動習慣の維持と改善。勉強はスタディスキル全般、特に「読む」と「問う」をもっと深めたい。ブログで新しいプロジェクトも始めたい。関心が同じでなくてもいいから、学びを共有できる友人や機会を作りたい。運動は、ストレッチを探究することと、筋トレ:有酸素運動=50:50のところを、30:70にして、体を追い込みすぎないようにしたい。夫婦共々、風邪をひかないように、ひいても治りが早くなるように、策を考えて講じたい。がんばる。

 

 

 

参考

日本の人事部 人事キーワード アンラーニング
https://jinjibu.jp/keyword/detl/538/

User Local テキストマイニングツール
https://textmining.userlocal.jp/

 

 

習慣おためしキャンペーン

おためしが本番になった頃には楽しく続いてる、もし途中離脱したとしても傷つかないお得なキャンペーン。

 

6月に、ジムで筋トレ+有酸素のトレーニングを始めた。「1か月も続くかな」から、ジムのインストラクターが「最大の離脱地点」と話す3か月を超え、半年が経ち、筋肉がついて減量モードに入った。

何か新しいことを始めて、かつ続けることは、1年前の私にはエネルギーが要った。体力をつかう運動なんてなおさらだ。うまく続けられなかった時の「ああ、まただめだ」も怖いし、反動で疲れがちだった。

そこでやってみたのが「おためしキャンペーン」(という名の、習慣化支援運動)だ。おためしが本番になった頃には楽しく続いてる、自信がついてる、もし途中離脱したとしても傷つかないお得なキャンペーン。

 

1 「やってみたい」を検知する

2 「やってみたい」を常温にする
「とてもやってみたい!!!」も、「あ、ちょっとやってみたいかも」も、手にしたまま数日待つ。熱いまま始めるのは、始めやすい半面、冷めやすい。低温のものは、徐々に熱を帯びるものもあれば、冷めたままのものもある。見たり聞いたりして入ってくる多くの情報は私を刺激して、瞬時にいろいろな感情をもたせるけど、それが本当に今やってみたいことなのか、あとでいいのか、実は必要ないのかはその時には判断できない。なりふり構わず始めて失敗して、を高速に繰り返すよりも、何が本当の「やってみたい」なのか、「時間のふるい」にかけて始めるほうが私には合っているみたいだ。時間は有限だし、体力もないし。

3 やってみる(「やってみたい」選抜用)

4 1次テスト
軽くやってみたあとに、もう一度ふるいにかける。好きか嫌いか。好きなところも嫌いなところもあるなら、もっと検査時間が必要なので前に進む。嫌いなら止める。嫌いなものを無理してやらない。「嫌いって思う自分がだめ」って思わない(とあえて言うということは、昔はそう思ってたってことだ)。

5 超短期目標を決める
わかりやすい、覚えやすい、ちょっとがんばったら届くような目標を決める。「やってみたい」を選抜試験してから目標を立てるのがキモ。現実的な目標が立てられる。一度やってみているので、頭でっかちで崇高なだけの目標にはなりにくい。

6 やってみる(目標と手段の精査用)
決めた目標に向かう。やっぱり嫌いなら、ここで止める。

7 2次テスト
目標と手段が妥当か、このタイミングで一旦考えきっておく。どちらも覚えやすく、シンプルなのが好き。必要に応じて修正をかけておく。

8 自動運転期間
1~7を短期で終えたら、2週間~1か月単位で「続けてみる」段階に入る。まだ本番じゃない。選抜試験を通過した「やってみたい」をもとに、自分に合う目標と方法を考えているので、あとは自動的に生きるだけだ。動きながら手段に工夫を凝らすような「考える」はいいが、「これって合ってるのかな……」といった根本的なところには思いを馳せないようにする(そのための前段階)。

とはいえ、機械じゃないので思いはよぎる。そんなときは「おためしおためし」と唱える。

「めんどうだな」 
「おためしおためし」

「今日1日くらい休んでも」
「おためしおためし」

「雨だし、外出したくない」 
「おためしおためし」

この期間は、不完全ながら、リニューアル中の機械になる。プログラムに沿って一心不乱に動き続ける機械を目指す。バグはデリートコードでさっさと退治すること。身体的な疲れは日々メンテナンスを行うこと。

9 定期検査
2週間~1か月後、「何が効果的『かつ』好きか」を確認。改善して、また8へ。

よさそうだったら、新しい目標を決めて続ける。楽しくって、あら、いつのまにか続けちゃってる、という状態になったら、本番の始まり。それまでは本契約じゃないので、合わなくて途中で離れても挫折歴にはカウントしない。「またできなかった」「続けられなかった」は、汚点と思うから、あとあとしつこくこびりつく。そもそも汚れとみなさなきゃいいのだ。

 

なお、「おためしおためし」と唱え続けるおためしキャンペーン、基本的にリスクはないのだが、契約書の隅に小さく記されているような注意事項はある。「めし」を連呼することで、サブリミナル効果よろしく、ごはんを食べたくなりがちなのだ。イタめし、鶏めし、いくらめし。鯛めし、焼きめし、名古屋めし。あさひるゆうめし、深夜めし。食いしん坊は気をつけなければならない。キャンペーン利用における過食には一切責任を負いません。