2019/10/13

きっかり正午から作り始めたコロッケ。
簡単なレシピを2種類、ふたりで手分けしたけど
出来上がったのはおやつの時間。
冷凍ストックする分はあとにして、早めに食べればよかったかな。

ポテトコロッケは練乳入り。
買い忘れて豆乳と砂糖で作った。
里芋コロッケは塩麹入り。
シンプルな「混ぜるだけ」に行くまでの、ぬるぬるの皮むきが終わらない。

横で玉ねぎを飴色になるまで炒める人。
2種類の芋をゆでて、それから2種類の肉に火を通す。

すべての工程に手間がかかる。

あれおねがーい
おっけー
こっちどうしよー
そこー
これはこうするの
おーん
うしろとおるよー
きをつけてー

お店に行けば
1個100円くらいで手に入って
お昼にすぐ食べられて
油の処理もしなくてよくて
ずっと楽なんだけど。
今日は「し」と「い」をくっつけたかった。

ポテトコロッケは揚げると思いのほか膨らんで気品をまとった。
里いもコロッケはかじると中がとろとろで、クリームコロッケみたいだった。

 

笑顔でぽてね(コロッケver.)を見送って
お目覚めを待つ午後7時。
もぞもぞ起きてきて
しゃきしゃき感3割増で台所へ向かった人に
「そろそろ夕ごはんの時間だよ!」と急かされる。
今夜は作り置きのカレー。

2019/10/12

唇が切れて血が出た。
ハロウィン仕様だと笑う。

 

 

Salon de Anil: A Beautiful Glider in the Indigo Sky

クィアアイを観るうちに、私もいいかげん見た目のコンプレックスを解決しようと決めた。

 

 

 

クィアアイは、Netflixで配信されているアメリカの人気番組。
ファブ5と呼ばれるゲイの男性5人組が、 “Love Yourself” をモットーとし、悩みを抱える人々(ヒーロー)にセルフケアの方法を教え、彼らの見た目、考え方、人生を変えていく。
セルフケアの領域は次のとおり:

ボビー氏:インテリアデザイン
ジョナサン氏:美容
タン氏:ファッション
カラモ氏:カルチャー(内面へのアプローチ。「勇気を出す」「挑戦する」を後押し。コーチング的要素)
アントニ氏:フード(無理なく料理できるレシピを伝授するなど)

日本の大改造番組や、ファッションチェックコーナーと違うのは、多様性や個々の考え方、ライフスタイルを尊重し、愛情深いところ。
ダサいものはダサいと言うけど、「私は好きじゃない」という言い方にとどめてヒーローの好みを大切にし、相談の結果、部分的に残したりもする。
清潔でないものは一刀両断するけど、なぜそうなったのか、問題の解きほぐしを丁寧に行い、揺り戻しが起こらないように設計する。
宗教、政治、人種差別、セクシャリティといったトピックについては当たり前に出てきて、よく意見交換が行われる(そしてテレビ的な安易な結論、解決で終わらない)。

ファブ5がヒーローを受け入れること、ヒーローが自分自身を受け入れること、ヒーローがファブ5を受け入れること。
ファブ5が社会を受け入れること、社会がファブ5を受け入れること。多様性を受け入れること。

 

“Our fight is for acceptance.”
僕らが目指しているのは「受容」なんだ。
– Tan France  (https://www.youtube.com/watch?v=7sPk6eay6Qg)

 

私は料理と部屋を自分でつくれる。
頭を使うことが好きで、仕事で研修やワークショップをつくっていたこともあるので、カラモ要素はわりとある。
髪はいつもお世話になっている美容師さんがいて、夫婦共々信頼しているのだけど、メイクや服の相談は今さらな感じがして気恥ずかしい。
似合う服とメイクをトータルで学んで、自分を好きになりたい。
必要なのはタン+ジョナサンということで、イメージコンサルティングを受けることにした。

 

 

初めて行く類の店。
検索で出てきた無数の情報。
選り好む術がない。
自分で考えられる、自分の言葉がある、柔軟な人に出会うにはどうすれば。

ブランディングの仕事をしていたこともあるので、つい店の門構え=オフィシャルサイトやSNSの様子を見比べてしまう。
見た目に関する業界なのに、美容室とは違って、見た目に説得力のあるウェブサイトをもたない人が多い印象。
ウェブサイトがしっかりしてないと検索しづらい。
ブログ形式で基本情報がわかりにくいとか、絵文字や色づかいが読みにくいとか、インスタのダイレクトメールしか連絡手段がないとかではエア門前払い。
誰に、どういうものを届けたくて、どんなふうに学び続け、かつ自分の専門分野以外のところにも目を向けているんだろう、と考えて沼にはまる。

お金をかけたリッチなサイトなら即決かというと、そうでもない。
アウトソース先の、よりよく魅せることが仕事の人たちは、クライアントをよりよく魅せる。
ちょうどよいブランディングは難しい。

オフィシャルサイトをもっている、ちょうどよいブランディングをしている人に頼もうと軸を決めた。
経営者の意図を読み取ろうとして、文章や写真などを手がかりに、よくあるパッケージ以外の要素を探す。

 

 

ふと開いたウェブサイト。
ページをぽちぽちクリックしていく。
屋号はSalon de Anil(サロン ド アニール)。
わからない単語は辞書を引く。
あまり一般的でない単語を選んでいるということは、必ず意図がある。

 

anil
【植物】ナンバンコマツナギ(Indigofera anil)≪西インド諸島産マメ科コマツナギの類の植物;かつてはこれから藍(indigo)を採った≫  

– 研究社 新英和辞典 第6版

 

おや?とプロフィールページに戻る。ビンゴ。イメージコンサルタントのお名前に「藍」が入っていた。

 

そういえば、ロゴやウェブサイトのメインカラーは薄紺、藍色である。
藍色が見えるようになった瞬間に、私はここに申し込んじゃうだろうなと思った。

 

パーソナルカラー診断は、自然光やそれに準じる環境が大切。
自然光の入るサロンと書く代わりに、自然光のもとでお客さんと対峙している写真を載せていた。
コンサルタントは紺色のニットを着ていた。
サロンのロゴは、直線と曲線が共存するデザイン。
インスタグラムに移り、実際の事例写真を見た。
レッスンの効果がてきめんなことを、ビフォー・アフターのジャンプ具合から知った。
全体的に写真のカラーマネジメントが整っていたことと、文章の感じから、ウェブサイトを自分でつくったにせよ、外に出したにせよ、藍色はご自分で指定なさったのではないか、紺ニット着用は意図的ではと推測した。
場所、レッスンメニュー、値段も私にとってはちょうどよかった。
それまでぐずぐずしていたのが嘘のように、さくさく手際よく、申し込みメールを打った。

 

 

レッスンが始まってしばらくは、お互いのことを話して知り合った。
いきなりの理論的なレッスンよりは好きだった、レッスンや見た目へのアプローチはあくまでも手段だから。
流れで藍色の話をしたら、コンサルタントの坂東藍子さんは「そこに気づいてくれた人は初めてです」とうつむいて目尻を拭いた。
ウェブサイトは外注だが、藍色の指定と紺のニットは、自分で考えたとおっしゃった。
たかがウェブサイト、されどウェブサイト。ファーストコンタクトはウェブ上が限界。そこでどれだけ意味を持たせられるか、表現できるか。
世界観や思想、意図をもってものづくりしている人に惹かれると話したら、元メーカー勤務という共通項もあって、ふたりでやたらと盛り上がってしまった。
私がどんなことを大切にしているか、どう表現したいと思っていて、何がうまくいかないか、どこに助けが欲しいかをしっかりと聴いてくださった。
コアな部分の共有に時間をかけていただいた分、具体的なアドバイスの意図をよく理解することができた。
私はなぜそうなるのかを理解できると、よく記憶できるし、楽しく応用できる。

 

だいぶ勇気を出して行った緊張で気づかずにいたけど、長く勤めていた場所から独立して自営するのだって大きな勇気が要る。
自分で考えて、自分の言葉を紡ぎ続けるのにもエネルギーが要る。
お金を出してそれっぽいものを買って済ますでもなく、思考停止するでもなく、細かいところまでというか、細かいところから自分なりの意味づけを積み上げて仕事をつくっている方だと思った。

 

いつだってそうやって頑張って考えて 探してきたじゃないか
いっぱい間違えて迷って でも全て選んでいくしかなかったグライダー
雨雲の中
– beautiful glider, BUMP OF CHICKEN

 

小さなことをいちいち気にしてしまう自分を面倒くさいと思う。
反面、細部に宿る意図に気づくと、その日1日中機嫌よくいられる自分も実は好き。
藍色や意味づけの話を伝えたら、思いのほか喜んでもらえたという出来事。
レッスンの「似合う」理論とは違う形で、私の存在を肯定してくれた。

 

 

昔、言語学の授業で、ものと名前の結びつきには必然性がないと学んだ。
実体と意味づけの関係は絶対的なものじゃない。
意味は絶対的なものじゃないから、つくることができる。
よりよく更新することもできる。
特別な愛情を込めたり、人と共有し、互いの解釈を含めたりもできる。

私は、言葉は比較的得意だけど、形、色、空間、配色などにはうとい。
苦手なりにも使える、言葉以外の意味づけの術を教えてもらえて、とても感謝している。
この形よりあの形、こっちの色よりそっちの色と、自分で意味づけして選択できるようになった。
型をはずすときも、はずす選択ができる。
足し算、引き算、バランス調整を楽しくやれるようになれてうれしい。
紺のニットに気づいて信じたことは、2019年のファインプレーオブザイヤーである。

次は自分を信じる番。

 

いつだってそうやって頑張って考えて 探してきたじゃないか
疑った手で掴んで 大切に信じるしかなかったグライダー
雨雲の中

夜明け前

 

 

 

 

おまけ:Salon de Anil の楽しみかた(夏ver.)

1. Netflixでクィアアイを観る。見た目のケアが心に及ぼす影響を知る。
2. ずるずる持ち続けていたコンプレックスを手放すと決める。
3. https://www.salon-de-anil.com にアクセス。
4. ウェブサイトの藍色を確認する。
5. プロフィールでお名前を確認する。
6. 紺色ニットを確認する。
7. インスタで事例を確認する。
8. 思い切って申し込む。
9. 前日の準備でわくわくする。
10. 楽しみでやや寝不足になる。
11. 残暑厳しい日、ちょっと歩いただけでも汗が流れてうんざりする。
12. (最寄駅からサロンまでは徒歩圏内だけど、暑いので)タクシーに乗る。「お客さん、今日は僕に会えてラッキーですね」と言う運転手さんに、自己肯定感の眩しさを教わる。
13. 藍子さんのキラキラ感にひるむ。
14. 涼しくて爽やかなサロンによろこぶ。
15. お話をする。
16. 紺色ニットが決め手で来たと伝える。
17. パーソナルカラー診断、骨格診断、顔タイプ診断、メイクレッスンを受ける。
18. たまに時計を見て、「あっというまだ……」と嘆く。
19. ベストショットを求めてスマホカメラで撮られまくる。スマホで隠れた顔から藍子さんの眉がひょこひょこ見えて、吹き出すのを耐える。
20. 緊急メンテナンスが施された障子を見つけて和む(お子さん4人いらっしゃる)。
21. おもしろくて帰りたくないけど、泣く泣く帰る。
22. もらった学びをまとめなおす。
23. 実践する。楽しむ。

 

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2019/09/18

I Was Icarus
by Ulrich Berkes
Issue no. 106 (Spring 1988)

It must have been a hot summer back then, when I could fly.
I was maybe seventeen.
My room was on the ground floor, facing the back.
Night after night I lay on the bed and imagined myself flying.
That was a strain, I tell you.
Usually I’d lie perfectly still for an hour before my body rose from the bed.
Very slowly I rose, until I hovered a meter or so off the floor.
Then with swimming strokes I propelled myself through the open window.
Outside I flew higher and higher, over the garden fence, over the clothes-lines, over the roof tops and the apple-trees on the outskirts of town.
The entire flight I felt the wind’s touch on my skin,
and sometimes I heard voices, calling.

—Translated by George Kane

文芸誌Paris Reviewのメールマガジンが、毎日詩を届けてくれる。
過去に誌上に載った詩の中から、少しずつ。

9/14に届いた詩が気に入って、何度かメールボックスを開けて読み返したり、ひかえめの声量で読み上げたりした。

Preloved

辞書はわからない言葉を引くためのものだけど、意味が予想できていて、あえて引くときもある。
文章を早く読むなら知らない単語の意味の推測は不可欠で、推測で事足りるならいちいち調べなくていいんだけど、
カフェでお茶やインテリアを楽しむのに似て、辞書に書かれてあることをじっくり読みたい時、しばらくそこに留まりたい時がある。

以前愛された、だから、中古かな。あたり。
「以前は人のものだった」の意味で、家やペットに対して。

婉曲的で、あまり使われない言葉。
「中古」の類語で引いても、出てこない言葉。
偶然、辞書の隙間に入り込んだみたい。

珍しく遅くまで出歩いた日、ネオンや提灯で光る町の中、もう誰も住んでいない家を見かけた。
起き抜けに窓を開けたり、部屋のすみずみを掃除したりする誰かにprelovedされたんだろうと、信号待ちの間だけ思った。

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