曲説フランス文学

Date
12月, 03, 2018

著者:渡辺一夫
出版社:岩波書店
発行日:2000年1月14日
形態:文庫

 

時系列順で知識網羅的な『増補 フランス文学案内』と異なり、「狂信と寛容」「サロンと文学」「科学と文学」「二つの生き方」といった、あるキーワードをもとにエッセイを展開していく形。「厳然として存在するフランス文学史を通じて、辛うじて判ったつもりになったことだけを、なるべく判りやすく書き綴った」(p.vii 小序)と書いてあるように、他の本と同様、この本の口調も渡辺らしい謙虚さで満ちている。本文でも数ページに1度は「ここでは書ききれません、すみません」といった主旨の文が出てくるので、慣れるまではややペースを崩されるかもしれない。

『増補 フランス文学案内』を先に読んで全体を頭に入れ、この曲説で別の角度から、あるいはもう少し深いところまで行くのがいいと思う。

この本でもノートとブックリストを作った。特にヴェルコールの『海の沈黙』を読みたい。