地下鉄のザジ

Date
4月, 02, 2020

 

著者:レーモン・クノー
訳者:生田耕作
出版社:中央公論新社
発行日:1974年10月10日
形態:文庫

Zazie dans le métro
by Raymond Queneau

 

1959パリに住む伯父に2日間預けられた少女ザジ。
都会の地下鉄に乗るのを楽しみにしていたのに、ストライキで叶わず。
口の悪いザジと個性豊かな人々による、どたばたした話。

 

『文体練習』で知ったレーモン・クノー。
実験的な作風は変わらないらしい。
解説や他の本によると、当時の文学が硬くて暗くて偉そうな感じだったので、テンポのいい喜劇×ザジの口調が新鮮なものとして受け入れられたとのこと。
その比較の感覚はピンとこないけど、爽快感はよくわかる。

 

私が好きなのはザジの伯父ガブリエルの妻、マルスリーヌ。
彼女の台詞には常に「おしとやかに」がつく。

p.21
「お食事よ」スープ鉢を運びながらマルスリーヌがおしとやかに言う。
「ザジ」とおしとやかに呼びかける。
「お食事よ」

p.44
「ねえあなた」おしとやかにマルスリーヌは言う。
「あの娘をさがしに行かなくていいの?」

この副詞の繰り返しが、ラストシーンで活きる伏線になっている。
こんなに副詞が好きだと思った話は初めてだ。
反復がユーモラスな箇所は他にもある。
フランス語がわかればもっとおもしろいだろうと思う(文法は覚えているんだけど…単語がなぁ…)。

 

クノー全集に入っている新訳もよむ予定。
映画も観たい。

 

 

2020-04-02