2020/05/02

 

ドラッグストアに体の保湿剤を買いに出た。季節の変わり目は苦手だ。かゆくて眠れない。今年は得体の知れてる不安をやり過ごすのに手いっぱいなのに、冬から春、春から夏への変化がそれぞれ急に来て、そのあいだの気温と気圧の動きも細かく、激しくて、もうついていけない。

いつもと別の店のレジ前は狭い。お客さん同士の距離が近い。前の人と極力離れていても、後ろの人が私に貼りつくように並んでしまう。速く出たいとあせっていたら、担当のレジの人が高校生くらいの新人さんで、新人さんらしくあせっていて、それを見て気持ちを緩めた。タイミングを見計い、目を合わせてお礼を添えた。

帰りに、新商品のビールを求めてコンビニに寄った。夫の仕事のお祝いに。小銭入れの奥から100円玉が出てこなくてレジでもたついていたら、店員さんが「そういうこと、よくありますよね」と待っていてくれた。お礼を言う。

この2ヶ月で減らしたのは外出の回数。
増えたのは朝食の品数と、感謝を言葉にすること。

 

 

2020/04/24

 

秋から刺していたクロスステッチのブックカバー。
手芸といえば大抵誰かのためだったと気がついて、自分用でつくり始めた。
赤、オレンジ、ピンクのグラデーション糸。
オフホワイトで柔らかい感触の生地。
昔、雑誌から切り抜いておいた図案。
好きなものばかり。

直線や単純なパターンを何も考えずに刺せばいいとき。
目を飛ばしたことに気づいてすみやかに修正したとき。
端の処理がうまくいったとき。
水に通してアイロンをかけたとき。
好きな瞬間ばかりだった。

光にあてるときれい。

 

 

 

2020/04/23

 

昨日仕込んでおいたチャーシュー。
インスタントの塩ラーメンに、キャベツ、ゆで卵、貝割れ大根といっしょに乗せて食べる。
スープと麺の絡めかたを失敗して、かいわれがこぞって下のほうへ姿を消す。
具を楽しんでいるうちに麺がのびた。

上に具材を乗せる食べ物、ラーメンや冷やし中華をつくると、大人になったと思う。
時には待ち遠しく用意していた食材、時にはあり合わせの材料(エネルギーを含む)でこしらえる。
私にとって、見た目と栄養はうんとあとづけの、食べてくれる人ありきの文化。
自然と気をつかうようになったとはいえ、気をつかっていることに気がつくと気恥ずかしくなる。

夫と出会って10年になった。2桁!

 

 

2020/04/02

 

パソコンで文字を読むのが苦手だ。
文字は追えるけど、内容が頭に入ってこない。
新しいタブで開いたり、ブックマークしたりして、あとで読もうとするのだけど、結局一向に読む気が起こらない。

だから、気になる文書はいつも印刷する。
自分の癖に気づいてから手に入れたレーザープリンターが活躍する。

蛍光ペンで線を引きながら読む。
気に入ったものはパンチで穴を開けてファイリングする。
目次ページに情報を記入しておく。

昨日気になった記事があったので、今朝印刷を試みた。
なぜか文章が部分的に消えてしまう。
拡大縮小で調節してもだめ。
もとのページをよく見てみると、サイトのヘッダー部分が固定になっていて、印刷先の全ページ分、ヘッダーの下に文章が隠れてしまうことがわかった。
そういえば、以前は「印刷」のボタンがあるウェブサイトが多かったと思うのだけど、今はこぞって「シェア」のボタンになっている。
ウェブサイトで読んで、シェアする時代なのだな。
普段、テキストメインのブログを印刷する分には困ってなかったので気づかなかった。

もうひとつ、読みたい記事があったブログ。
印刷ページを開いたら、いろいろな画像が入ってこず、テキストオンリー A4サイズ1枚にぴったりだった。
大吉をひいたような気分になった。

 

 

2020/03/09

 

『ストーナー』の読書で、章ごとの要約とキーセンテンスの書き取りを地道にやる、というのを久しぶりにした。
いつもは要約せず、気になる文章に付箋をつけるぐらいだったけど、紙に出して俯瞰してみたくなった。
ノートに書くのは手が痛くて時間がかかった。
読んでいて印象が強いところも、全体で見ると必ずしも重要ではないかもしれないというのに気づけてよかった。

書いたあと、情報系の夫に読んでもらい、説明もした。
シェイクスピアのソネットも読んだ、大学の英詩講座でとったノート。
この際だからと引っ張り出して、おもしろくて強烈に覚えているジョン・ダンの「蚤」の話をしたら、ただ「難しい」と繰り返していた顔が吹き出した。
中世の詩を精読した日々の跡を見て、自分の学生時代と全然違うと言われる。

何かの役に立てるためでもない、お金を稼ぐためでもない、何かのためじゃなくていい。何をどう解釈してもいい。
自分が感じたこと・考えたことを、理由と論理で結びつけて形にすることが大切、という場をまがりなりにも出たことが、あまり深く考えず入ったとはいえ、今も自分の根幹をなしている。

夫にはてなマークが頻出した箇所を中心に加筆した。
読み返すと、蚤の話で爆笑した時間を思い出す。
あるテキストが読み手の解釈や経験や思い出を踏まえて新たなテキスト生成のきっかけになって、新しいテキストを書いたり読んだり説明したり会話の種にしたりしたことがその新しいテキストの一部になる、というのがとてもすき。