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junkotakijiri

頭が下がる

 

散歩のルートはいくつかある。丘の上の広い公園を歩き回るのを基本にして、コンビニやドラッグストア、スーパーで用事を済ませる。今日は鬼ごっこをしている子どもたちの中を歩くのがためらわれたので、公園での滞在を最小限にして、遠くの土手に向かった。道すがら、信号のない横断歩道で、渡るタイミングを見計らっていたときのこと。郵便局の車がすーっと止まってくれた。うれしくて、会釈して渡った。

土手は気持ちがいい。土手に行って帰るだけでも目標歩数が達成できるのもいい。普段は音楽をかけながら何かの作業をすることは少ないけど、散歩のときは聴ける。思索モードのときの頭は、詩的な日本語が欲しくて、GRAPEVINE、直太朗、椿屋四重奏あたりをリピート。大体何かの単語がひっかかって、何かを思い出して、景色を見てるようで見てない感じで歩く。あるものをどう伝えるか、を考えているときは、流行りの曲と、坂道グループの曲を聴く。どんな具合の言葉と展開が、たくさんの人の耳に入って、生活になじんでいるのかを想像する。難しい言葉を使わないのだなあとか、ストーリーの構成はよくあるやつだけど、新しい時代に新しい人たちが作り直してるのがいいんだろうなあとかぼんやり思う。日本語を聞きたくないときはThe Rasmus。

土手から見える公園で、小学生とおぼしき子どもたちの、野球の練習が始まるのを見た。コーチとおぼしき大人と一列に並び、帽子をはずして、グラウンドへ一礼していた。しばし立ち止まって眺めていた。再び歩き始めたとき、土手の道の先からママチャリがやってくるのに気づいた。女性が、平坦な道を重そうに漕いでいた。不思議に思っていたら、後ろに野球少年を乗せていた。4年生くらいか。たくましい体つき。遅刻しているからか、女性に礼もなく、すぐにグラウンドへ駆けて行く。女性は自転車に乗らず、押して進み始めた。グラウンドから離れたところで自転車を止め、グラウンドの様子を見ていた。その様子に惹かれたけど、私が見つめ続けるのは怪しい。追い抜く。

スーパーでワカサギのフリッターを買う。夫が食べたがってたやつ。今週はぼちぼち健康だけど、体調を崩したときのために、チルド食品もいくつか買った。

帰り道、信号も横断歩道もない場所で、渡るタイミングを見計らう。薬品会社の車が止まってくれた。うれしくて、会釈して渡った。

 

 

2/1-7 振り返りとお気に入り

 

■今週の振り返り

読んだもの:
佐藤雅彦・菅俊一・高橋秀明『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』

生活:
オンラインミーティング、病院の定期健診めぐり、新しいコンピューターの受け入れ準備、データ移行、散歩、休憩で構成された1週間。

 

■今週のお気に入り

行動:新しいコンピューター導入に際した夫の言動
ずっとノートパソコンユーザーの私が、「基本在宅だし、デスクトップでもいいかも?肩こりが減りそう」と思ったこと。在宅勤務をしていた夫が、「ディスプレイを買い替えたい。今使っているものをどうしよう」と思ったこと。ふたつが重なって、私の書斎に新しいデスクトップパソコンと、おさがりの4Kディスプレイが来ることになった。

夫はエンジニアで、いいパソコンを使っている。仕事柄、会社支給のパソコンはもともとハイスペック。数年前に「負けてはいけない」と宣言して、家のコンピューター環境をえらくよくした。いいものなので、よく自慢する。頻繁に買い替えることなく、長く大切にするぶん、同じ内容の自慢が数年単位で続く。

「これはね、こういうスペックでね、すごくいいんだよ。ほーら速い」
「こういうスペックのパソコンじゃないと動かないゲームなんだよね」
「見て、この色。このディスプレイだからなんだよ。いいよね~」

 

私にはコンピューターのスペックの違いがよくわからない。何歩か譲って、私が好きなもので置き換えて考えてみてもわからない。だけど話している表情が楽しそうなので、訓練のすえ手に入れた技術で穏やかに対処する。

 

そんな夫が大好きな「いい機械を吟味して買う」に、「大好きな人のために」をくっつけたのが今回。もうお祭りである。
 

私の好みや使い方を訊ね、「自分が使っているものほどいいものは必要ない」「要求を満たせば、あとは自分の好きに選んでいい」と判断。必要なレイヤーの中から、品質・値段・メンテしやすさなどを考慮した、ベストな選択を探していく。オンラインショップの、媚びのないページで、各パーツのスペック表から好みのものを組み合わせて選び、最終価格がどうなるか調べる。2週間くらいやっていたと思う。永遠に楽しそう。彼が選んでるのは私のパソコン。

 

ベストな構成に辿り着き、注文。彼の数年前に買ったコンピューターのほうが、基本スペックが上なのだが、あるパーツだけ、年が経った分開発が進み、彼のよりもいいらしい。ということで始まった「いいないいな」(①)。

「いーなー。ぼくのよりもいいのなんて、いいなー」

 

注文してから組み立ててくれるということで、待つ。ライン生産方式ではなく、セル生産方式(1~少数名で完成させるやり方)なのもまた、彼の心をくすぐる。出荷された場合は、当日夜に連絡が来るらしい。ということで始まった、帰宅後の「まだかな」(②)。

「コンピューター、製造中だよ。まだかなまだかなー」

 

上記①+②により、

「いーなー。ぼくのよりもいいのなんて、いいなー。いま製造中だからね。まだかなー」

が続く3週間。

 

>いよいよ出荷された日。

「接近警報!!」

 

到着予定日の朝。

「いーなー。ぼくのよりもいいのなんて、いいなー。いま接近中だからね。まだかなー」

 

到着。満面の笑みで受け取り。開梱前に記念撮影。彼が持ってるのは私のパソコン。

 

セットアップ。

「いーなー。ぼくのよりもいいのなんて、いいなー。お、やっぱり速いなー。いいなー」

 

設置。
私の部屋は、机、サイドテーブル、ベッドが並んでいる。サイドテーブルの下にデスクトップパソコンを置いた。

(私のベッドにうつぶせになって横たわり、パソコンを眺めながら)
「いーなー。ぼくのよりもいいのなんて、いいなー。かっこいいなー」

 

1日後。

「おっ。新しいコンピューター、いいなー」

 

2日後。

「新しいコンピューターに向かって座っているのを見るのがうれしい」
「いーなー。ぼくのよりもいいのなんて、いいなー。かっこいいなー」

 

3日後(今日)。

私「今日はブログを書くよ。新しいパソコンでね」
夫「いーなー。ぼくのよりもいいのなんて、いいなー」

 

自分のを買うには、まだ数年様子を見るらしい。つまり、だ。

 

 

 

1/25-31 振り返りとお気に入り

 

■今週の振り返り

読んだもの:
佐藤卓 編著『ケの美』
渡邊淳司/ドミニク・チェン 監修・編著『わたしたちのウェルビーイングをつくりあうために-その思想、実践、技術』

生活:
あるプロジェクトのことを考えるようになって、読んだり考えたりノートに書きとめたりを繰り返している。アイデア、連想が生じると、嬉しくて興奮したりもするのだけど、その時点でまとめたり結論をつけたりしないようにする。少し冷めて、常温になるのを待つ。そうしているあいだにも別の熱いアイデアが出てきて、これも冷めるのを待ち、とやっていると、なんだかんだでONのままの頭。
馴染みの店が改装を終えた日に合わせて、夫が仰々しく年休を取った。平日の午前、仰々しくふたりで出かけて祝った。入り口で出迎えてくれるお偉いさんに会釈した。素早く買い物をした。この「仰々しさ」のユーモアは、夫との関係で大事なもののひとつだ。些細なことでもイベントになり、事件になり、思い出になる。
髪を切った。何度目の宣言かわからないけど、今度こそ伸ばす。

 

■今週のお気に入り

文章:Warren Benedettoさんのプロフィール
Chromeの拡張機能、Stayfocusdの開発者。インターネットの閲覧制限をかけてくれる機能なのだけど、設定を変更するときのポップアップメッセージがいちいちおもしろい。企業による開発物だと思っていたら、個人によるものだった。その個人のプロフィールの文章がまたおもしろかった。

I attended Cornell University, earning a Bachelor’s degree in Evolution And Human Behavior. I didn’t minor in anything, but if I had, it probably would have been something equally useless, like White House Fact Checking.

After graduation, I moved to Los Angeles to pursue a career in being famous. Upon my arrival, I was informed that there were already enough famous people, and my services would not be needed.

Never one to be deterred, I enrolled in USC and earned a Master’s degree in TV/Film Writing. “Now can I be famous?”​ I asked. “No, sorry,”​ Los Angeles said. “But you can be unemployed, if you’d like.”

Equipped zero marketable skills and more than zero debt, I taught myself graphic design, HTML, CSS, JavaScript, UX, PHP, MySQL, Node JS and a bunch of other acronyms. Then I convinced some people that I know what all those letters mean.

Luckily for me, most companies looking for a product guy want someone who is unusually handsome, athletic, and charming. When they can’t find anybody like that, they hire me instead.

コーネル大学で進化と人間の行動について学びました。副専攻は取りませんでしたが、取るとすれば、ホワイトハウスのファクトチェックのような役に立たないものを選ぶと思います。

卒業後、有名になれるようなキャリアを求めてロサンゼルスに行きました。すでに有名な人が十分にいること、私が必要とされてないことを知ったのは、ロサンゼルスに着いてからでした。

誰に止められることもなく、私は南カリフォルニア大学に入学し、テレビ・映画のライティングで修士号を取りました。私は「これで有名になれますか?」と尋ねました。ロサンゼルスは言いました、「いいえ。でもあなたが望むなら、無職にはなれます」と。

市場価値の高いスキルはゼロ、負債はゼロ以上の私は、グラフィックデザイン、HTML、CSS、JavaScript、UX、PHP、MySQL、Node JS、その他多くの頭字語を独学しました。それから何人かの人たちに、私がこれらの文字の意味を知っていることを信じてもらいました。

私にとって幸運なことに、プロダクトに関わる男性を探している会社は、とてもハンサムで、活発で、魅力的な人を望んでいます。思うような人が見つからないとき、彼らは代わりに私を雇うのです。

https://www.linkedin.com/in/warrenbenedetto

 

動画:Humans, not Users: Why UX is a Problem | Johannes Ippen | TEDxYoungstown
今まで興味を持ってきたものって、もしやUXでは・・・?と気づいた今週。UXの動画をよく観た。お客さんを「ユーザ」じゃなくて「人間」として考えることについて。

 

 

好きな人からのLINE

 

たとえばあなたの知的好奇心をくすぐるとても興味深い記事や、好きな芸能人やスポーツ選手の、かなり熱のこもったインタビューが、タイムラインに流れてきたときのことです。しかし、そんなときに、あなたが気になっている異性(同性でもいいですが)、尊敬する人物からLINEでのメッセージが届いたとします。どちらも同じ文字情報です。あなたにとって、より心が躍る、重大なメッセージとなりうるのはどちらでしょうか。
多くの人はおそらく、後者の「好きな人からあなたのために送られたメッセージ」のほうが、より心躍るものになるのではないかと思います。つまり、どんなに作り手が熱をこめたものを発信しても、それは自分の身近な人物からのメッセージ―たとえそれが何気ない気軽なものであったとしても―にはかなわないのです。現代における最強のコンテンツの作り手とは、一流のクリエイターや編集者ではありません。それは多くの場合、自分の好きな人であったり、恋人であったり、友人であったりするのです。

チェコ好き『旅と日常へつなげる』

 

編集・ライターをしていたときに読んだ電子書籍で、今もたまに読み返す。2016年に発行されたもの。

今日、この引用部分を思い出したとき、「そういえば、夫からLINEが来たとき、『夫から』って思ってないな。『好きな人から』来たって思ってるな」と気づいた。夫に訊いたら、彼も同じだと言っていた。この先がどうなるかわからないけど、家族になってそろそろ10年になるというのに、お互いを役割のラベルで認識していないのがおもしろかった。

 

 

1/18-24 振り返りとお気に入り

■今週の振り返り

読んだもの:
Jorge Luis Borges, The House of Asterion  (translated by Andrew Hurley)
・ホルヘ・ルイス・ボルヘス「アステリオーンの家」(木村榮一訳)
・ウィリアム・サローヤン『ヒューマン・コメディ』

生活:
久しぶりに、自力の月経を得た。
ピルを飲み始めたのは、就職してしばらくした頃。海外出張が多くなった頃。任されるものが突然大きくなった頃。香港と中国の、ピリピリした入管を、ひとりで何度も行き来しなくちゃいけなくなった頃。異文化の洗礼をたっぷり浴びた頃。わけのわからない、自信がない日々の中で、せめて体調はコントロールできればと使い始めた。ハードワーキングの中でも毎月来てたのは、自力じゃなくて、薬のおかげだった。
あれから何年も経った。そのうち手術を受けるなら止めておく必要があった。飲んでいるままだと血栓リスクが高まるらしい。12月頭に止めて、しばらく経っても何も起きなかった。月経が戻るまで半年かかる場合もあると聞いて不安な中、新しく運動習慣をつくって、できるだけ養生するようにした。
その答え合わせが今週だったように思う。ずっと張っていた気持ちが楽になった。

 

■今週のお気に入り

モノ:Book Depositoryの新春キャンペーンとしおり
洋書を送料無料で買えるBook Depository。1/7に注文して、1/12にイギリスを出た4冊が今週届いた。この店で買う「体験」は結構気に入っている。イギリス国内はRoyal Mail、日本に入ってからは郵便なのが、なんかいい。「郵便屋さんが私の本を運んできてくれる」というイメージをもちながら待つ時間。簡素だけど丈夫に設計された梱包で届く本にはしおりが挟まれている。その時々のキャンペーンに関するものだけど、いつもユーモラスで、洒落ていて、Book Depositoryらしさがある。前回は「女性の強さ」に関するものだったかな。今回は新春キャンペーン。「よくないとわかっているけどやめられないこと」を本の中で叶えながら、しっかり目標達成しましょう、というメッセージ。人の本音、弱いところへのやさしいまなざし。

In 2021… It’s fine to give up on your new year resolutions (as long as it’s with a book!)
Reach your new year goals by making books your guilty pleasure! Commit to green salads for lunch, then indulge in a cupcake cookbook at night. Shop to your heart’s content without spending a cent, by reading the Shopaholic series. Connect to our social channels this month to discover how to be naughty with books and choose between a “nice” or “naughty” book choice. Stay tuned to discover the naughty side from some Book Depository’s team members!

(本の中でなら)今年の新年の抱負を諦めるのは問題ないですよ。
目標達成に影響があるような「よくない習慣」に本の中で浸るのはOKということにして、新年の目標を達成しちゃいましょう。お昼にサラダを食べて、夜はカップケーキづくりの本を読みましょう。
Shopaholicシリーズを読んで、お金を使わずに心ゆくまで買い物しましょう。

キャンペーン詳細と、いろんな欲を満たしてくれる本のリスト
https://www.bookdepository.com/bookmarks
プレスリリース
https://www.prnewswire.com/news-releases/trouble-keeping-new-years-resolutions-join-book-depositorys-newyearnaughtyyou-campaign-301207108.html

 

動画:森山直太朗「日々」
私は音楽を聴くときに、曲だけを楽しむことがめったにできない。大体が歌詞を詩として楽しんでいる。言葉なしの音楽は、映画のテーマ曲とか、演奏者自身のことが好きなことが多い。今週は森山直太朗の曲をシャッフルして散歩した。御徒町凧との作詞タッグが好物。