Never Ending Cycle

 

今日の文学の教科書では、ウィリアム・フォークナーの短編を読んだ。
何を言っているかさっぱりわからなくて、一度離脱し、日本語版を読んでから英語に戻った。
それでも英語がよくわからなかった。
方言につまずく。
関係詞のおかげで一文が長く、すぐにさまよう。

知らない単語を調べてから、挫折することにした。
今日までこの教科書で読み飛ばしたものはなかったので、挫折するにも勇気が必要だった。
日本語でも読めない本はあるんだ、英語だって読めないものがあってもいい。

とはいえ、かじりついていた時間がわりにあったぶん、「精読しきれなかった」悔しさが残る。
ある大学生のtumblrに引用されていたツイートを見て、プログレス、プログレス、と思い直した。
そして、yahoo.comの知恵袋に「フォークナーはムズイよ」と書いている人を見つけて同意した。

 

 

 

Things to do

 

6月から発作的に出てくる痛みのわけがわかった9月。
ゆくゆくは手術をしたほうがいい案件なのだけど、腫れはひいたし、薬でどうにかならんかねと様子見することに。
時間をかけていくつかの検査をした。
合う先生に辿りつくまで、複数の先生に会った。
新しく飲み始めた薬のせいで今まで飲んでいた薬の効き方が変わった。
季節の変わり目、気温と気圧の激しい変化も相まって、堪えた。
同級生のグループラインで、厄年の話になった。
いつもは気にならないトピックなのに、「だからかー」と思った。
アレルギーとかの生まれつきのバグ、胃炎とかの環境によるバグは経験済みだったけど、原因も病症もいまいちはっきりしない、でも確実に生じているハードウェア故障に戸惑った。

 

基本的に、食事をつくって、掃除や洗濯をして、読書して、勉強して、寝る生活。
誰かから「人のためにすることは仕事」と聞いた。
夫のためにしていることも多いので、自分では仕事をしているつもりでいる。
(夫も同じ考えで、私が「おつかれさま」と言うと、同じ言葉で返してくれる)

 

読書は本の数が増えるようになった。
ここ数ヶ月集中できなかったのは、病気のせいだったのかもしれない。
知識を増やしたくて、読むジャンルを広げてみることにした。
どんな日も、英単語を覚えるのだけは忘れないようにしている。

 

夫の部屋のプロジェクターで映画を一緒に観ること。
たまにしか観ていなかったけど、週末の観賞会を復活させた。
スタートレック ディスカバリー シーズン3の配信開始がいちばんのきっかけで、金曜日に配信される最新話は必須。
合わせて映画も1本観る。
本と同様、今まで選ばなかったような作品をウォッチリストに入れるようになった。

 

病気だとわかって薬を飲んだら気力が戻った。
不具合は不具合で、薬と用心ありきのものだけど、頭と体がぼちぼちでもうまく動くのは楽しい。
ある事柄への期待や未練はきっぱり諦めに変わった。
やりたいことがわかってきたので、それをいっぱいやろうと思う。

 

深く潜る。
知識をつける。
広く見る。

 

 

edX C Programming: Getting Started

 

オンラインで世界の大学の授業に参加できる、MOOCs。
有名どころのアカウントはすべてもっていて、人文系の講座をちょこちょこ取っていた。
字幕の有無、音質・画質のよさ、速さ、ツールの使い勝手など様々で、自分に合うものが見つかればすごくいい教材。
受講終了証を発行するのにはお金がかかるけど、必要ないなら無料で受講できる。

 

今年のお盆、サマーキャンプと称して、初めて未知の世界、プログラミングに挑戦した。
プログラミングの考え方を知りたくて。
RubyとかPythonとか、よく聞く言語も候補に入れていたけれど、
夫いわく、何かつくりたいものがあるなら、それをつくるための言語を学ぶべき、
考え方を学びたいならC言語がいいんじゃないかとのことでC言語に。

 

日本語で教材を探したところ、楽しそうなものが見当たらない。
htmlとcssの勉強をしているprogateというオンライン学習サイトには、C言語のプログラムがない。
仕方ないから英語で探す。
edXで評判の高い授業を見つけた。
edX Prize 2019を受賞した「C言語 with Linux」のシリーズ。
Dartmouth CollegeとTelecom ParisTechの共同制作プログラム。
Linuxで、というつもりはなかったけど、夫がLinux好きなので、私も好きになってみようと思った。
https://www.edx.org/professional-certificate/dartmouth-imtx-c-programming-with-linux

 

先生のおふたり。
ビデオは講座の初回のみ、その他はコードを書くツールを使いながら教えてくれる。
https://www.youtube.com/watch?v=TemJrtPjJhE

 

まずは超入門編の C Programming: Getting Startedを受講した。

先生がコードを見せながら教えてくれるツール。
音声と字幕つき。

 

例題の中でいちばん好きだったもの。
「私はこれから森で9マイルのハイキングをする。1マイルごとにヘーゼルナッツを3つ拾う。1マイルごとに合計でいくつヘーゼルナッツをもってるか、表示させましょう」
おしゃれ。

 

自分で解くのがActivityページ。
このActivityのつくりがおもしろくて、毎回心待ちにしていた。
すぐにフィードバックが出るのもいい。

記念すべき私のファーストプログラム。

 

駆け出しなのに、 “You’re a skilled programmer. ” “We need your help.”とか言って、私にいろんなミッションをくれる。
そんなこと言われたらがんばっちゃう。

ある町の町長さんに呼ばれてお仕事。

 

問題文に、太郎と花子じゃなくて、先生たちが出てくるパターン。
フランスの先生がアメリカにやって来るというので、距離がどれくらいあるかを計算して差し上げる。

 

この教材をつくるための訪問に、クッキーのレシピを持ってきたフランスの先生。
華氏のアメリカ、摂氏のフランス、温度の計算しなおさなくちゃということで、私が呼ばれる。
プログラマーっていそがしいな。

 

最終課題と私の回答。成長を感じた。

 

毎日、習ったことのまとめと質問を抱えて夫に話に行った。
2問だけ、どうしてもエラーが出続けるActivityがあって、バグ取りを手伝ってもらった。
それ以外は自分でやった。
オンラインの授業を終えて、”Congratulations!”と言われて泣くとは思ってなかったよ。

がんばった!たのしかった!!
また次もがんばろう。

 

 

ベジエ曲線は突然に

 

画像編集ソフトで、突然ベジエ曲線を引けるようになった。
ぐにゃぐにゃの線しか引けなくて、すっかり諦めていたのに。
なぜ引けるようになったかというと、何がどういう名前で、どういう風に動くのかを勉強したから。
なぜそれができなかったかというと、最初の入り方が「デザイナーに動かし方を見せてもらってそれを真似する」だったからだと気づいた。

「これはね、こうするの。これはこう。うんうん、そうそう、それを続けるとうまくなるよ」と言われて、
「これはこうする。これはこう。うんうん、これを続けるとうまくなる」と信じて、
おおざっぱな動きとディスプレイの画面の記憶を頼りに、マウスを動かしていた。
でもそれは練習と呼べるようなものじゃない。
単に「マウスを触る ⇒ ぐにゃっ」を数回繰り返し、すぐにソフトを閉じていたんだから、
「基礎練習を続けているうちに実は体がコツを覚えていた」みたいなものじゃない。

動きを真似しながら、言葉を介さずとにかくやってみよう、という学び方は私には本当に合ってない。
それを忘れて身体的模写を続けていたら挫折する。
挫折の「どうしようもなかった感」や「諦め」が頭にこびりついたまま消えない。
「名前や構造を勉強したらすぐわかる」という傾向の顔を出す余地が、代わりに消えてしまう。
いつもいつも。
頭の中のこの仕組みを思い出せない、途中で気づけないのもいつも。
だいぶ時間が経って、ふと名前や構造を手に入れて、突然できるようになるのもいつも。

この仕組みのデメリットは、「体を動かしていれば自然とできるようになる学派」の人に怒られること。
自分が「体を動かしていれば自然とできるようになる学派」ではないことを忘れ、できないことに一定期間落ち込むこと。

メリットは、学び方の違いを思い出して問題点を把握し、落ち込みから抜け出せれば、自分のバグっぷりも含めてたのしくなり、対象を好きになれること。
できるようになることが、とてもうれしいこと。

 

あの日 あの時 あの場所で 言語情報なかったら
僕等はいつまでも 見知らぬ二人の まま~

 

 

おもしろがりあい

 

ずっと問題だったことに名前がついた。
専門の人に診てもらったら、ばらばらに存在していたファイルをひとつのフォルダにまとめられた。
外からは普通に見えるし、困っていることの表面だけとらえれば、多かれ少なかれみんなそんなもんだという感じなのだけど、よくよく勉強してみると、中のシステムがなかなか変わっている。
好きなものや趣味、出身地、学校が同じとか、何かの共通点で人に親近感を抱いたことがなかったのに、初めて、似た人が確実にいることに安心感を覚えた。

12月は関連書籍と、先生からもらった資料を読んだ。
直近の診察は、資料でわからなかったところを質問したり、トピックスを話す時間だった。
大学のゼミみたい。
先生:「あなた、典型例とここが違うんだね、おもしろいねえ~」
私もそこをおもしろいと思ってたし、先生もお医者さんっぽくなくておもしろい。

初診につきあってくれた夫が、本を読んだり、意見交換⇔自己分析したりするのも手伝ってくれている。
これも大学のゼミみたい。
夫:「ここに書いてあること、言い得て妙だね、おもしろいねえ~」
生活しやすくなりそうなガジェットをいくつか買って自慢したら、まんまと「僕も欲しい」と言って自分用も買っちゃうところがおもしろい。
私が買う前は「僕には必要ない」って酷評してたのに、宅配便が届く日、早起きしてうきうき待ってるのもおもしろい。
私のスマートスピーカーは(じゃんけんとかで遊んだ結果、学習して)応答に歌を挟む陽気な性格なのに、彼のは(あんまりしゃべりかけないからか)淡々としてておもしろい。

期待や評価じゃなく、あいだに「おもしろい」が来る関係って好きだなーと思った年末年始。