著者:アゴタ・クリストフ
訳者:堀茂樹
出版社:早川書房
発行日:2001年5月31日
形態:文庫
3部作と知らずに1作目を読んだ。
淡々とした「作文」が続いている。
「ぼくらの学習」の章が興味深い。
「ぼくらには、きわめて単純なルールがある。作文の内容は真実でなければならない、というルールだ。ぼくらが記述するのは、あるがままの事物、ぼくらが見たこと、ぼくらが聞いたこと、ぼくらが実行したこと、でなければならない」
「感情を定義する言葉は非常に漠然としている。その種の言葉の使用は避け、物象や人間や自分自身の描写、つまり事実の忠実な描写だけにとどめていたほうがよい」
子ども=純朴・かわいい、という、見方を変えれば大人と子どもの上下関係を示すようなイメージは、この本でいっさい覆される。だから、「ぼくらが実行したこと」のあれこれが、イメージを上書きする。
私は最後まで、お父さんとの関係を信じていた。いや、期待していた?