夜と霧

Date
3月, 27, 2018

著者:ヴィクトール・E・フランクル
訳者:霜山徳爾
出版社:みすず書房

発行日:1985年1月22日
形態:単行本

 

強制収容所を体験した、心理学者の手記。

・「もはやなにも残されていなくても」の章。
・ドストエフスキーの引用「わたしが恐れるのはただひとつ、わたしがわたしの苦悩に値しない人間になることだ」
・「最後の瞬間までだれも奪うことのできない人間の精神的自由は、彼が最後の息をひきとるまで、その生を意義深いものにした。なぜなら、仕事に真価を発揮できる行動的な生や、安逸な生や、芸や美術や自然をたっぷりと味わう機会に恵まれた生だけに意味があるのではないからだ。そうではなく、強制収容所での生のような、仕事に真価を発揮する機会も、体験に値すべきことを体験する機会も皆無の生にも、意味はあるのだ」
・「生きることがわたしたちになにを期待しているかが問題なのだ」
・「生きるとはつまり、生きることの問いに正しく答える義務、生きることが各人に課す課題を果たす義務、時々刻々の要請を充たす義務を引き受けることにほかならない」
・憧れの中で手垢がつき、色褪せ、霧散した「自由」という概念

旧版訳者、霜山さんのあとがきより、来日したフランクルの話。
「フランクルは講演の直前に私に用があるというので行ってみると、濃いストレートのコーヒーを二杯続けてのませて欲しいとのことで、早速手配したが、彼の熱心で強い説得力は、このように、カフェインに助けられ、懸命に訴えられているのは哀しみでもあった」