ロラン・バルト 言語を愛し恐れつづけた批評家

Date
2月, 08, 2019

著者:石川美子
出版社:中央公論新社
発行日:2015年9月25日
形態:新書

 

ロラン・バルトの日本語の入門書で、薄くて安くて今手に入るものは多くないので貴重。バルトの生涯に沿って、彼の知的好奇心の向かった先、発表したものを紹介してくれる。早々に30歳までの話が終わるので驚いたのだが、これはバルトが肺結核で病床に臥せていたため、盛んに活動できるようになるのが30代以降のためだ。親近感がわく。病のせいである意図の実現が遅れたとか、完成の順番と出版の順番が入れ替わった(出版順は、バルトの思想の更新順序と一致しない)など、入り組んだ流れの中で読者を混乱させないようにするためか、1・2・3と話したあと、次は2・3・4、その次を3・4・5と続けるように、やや重複箇所が多い印象を受ける。

1周目は普通に読み、バルトの物語を楽しみ、2周目はノートに「著作リスト」を作りながら読んだ。出版順ではなくて執筆完了順。どんな目的、経緯で書いたか。

用語や思想の説明は最小限に抑えられて、さらっとなされる。とりわけ読みにくい、難解とされている初期の思想についても同じなので、先に寝ながら学べる構造主義を読んでキーワードの意味を知っておくといいと思う(挫折の学びの一部だと思うけど、独学だと立ち直れずに諦めてしまうこともあるので、挫折しなくて済むならできるだけしたくない。思想系の本はそろりそろりと近づくのが好き(文学作品は説明を介さずにまず直接行くのが好き))。「言語を愛し恐れ続けた」という点は、どちらの本でもぴんと来なかった。

 

 

 

2019-03-27