著者:ツルゲーネフ
訳者:神西清
出版社:新潮社
発行日:1952年12月25日
形態:文庫
ロシア。 導入部は光文社よりも新潮のほうが。
主人公の気持ちの移り変わり。自分を振り回していた人がほんとうに好いたのは。
絶望の描写が
「わたしの知った事実は、とうていわたしの力の及ばないことであった。この思いがけない発見は、わたしを押しつぶしてしまったのである。……一切は終わりを告げた。わたしの心の花々は、一時に残らずもぎ取られて、わたしのまわりに散り敷いていた。投げ散らされ、踏みにじられて」
と、詩的なカタルシスなのは、数年後の自分が振り返ってるからか。大人の静謐さで、初恋のみずみずしさをサンドイッチしてる様が妙。
「情け知らずな人の口から、わたしは聞いた、死の知らせを。そしてわたしも、情け知らずな顔をして、耳を澄ました」