冷血

Date
8月, 19, 2019

著者:カポーティ
訳者:龍口直太郎
出版社:新潮社
発行日:1978年9月26日
形態:文庫

IN COLD BLOOD
by Truman Capote
1965

 

アメリカで1959年に起こった一家殺人事件を題材に、カポーティがインタビューを重ね、ノンフィクション・ノヴェルとして形にした作品(事実に即しながらも、著者による情報の取捨選択はあり、感情移入が生じるような処理がされている)。長年の密な情報収集のなか、生い立ちの類似などから、死刑囚2人のうちの1人、ペリーと特に親しい関係を築いたことで知られる。

2005年に公開された映画「カポーティ」の販促ポスターに、「何よりも君の死を恐れ、誰よりも君の死を望む」と載っていた。当時はその言葉の宛先がカポーティだと思っていたけど、『冷血』を読んで、カポーティからペリーに向けた設定のコピーだったと気づいた。「友情を結んだ相手に死んでほしくない」と「作品が出版されるには執行されてほしい」のせめぎあいが、本でも映画でもよく表現されている。

550ページのうち、300ページを一気に読んだ。筆力に引き込まれて夜更かししたのは久しぶり。

 

K・B・I捜査官も顔負けの東奔西走をつづけ、この事件に少しでも関係があると思われるありとあらゆる人間に面接して話を聞き、さらに犯人が逮捕されると、犯人が犯行前後に足跡を印したすべての場所に出かけて行き、遠くメキシコまで足を伸ばし、面会と調査と探偵を三カ年にわたってつづけ、かくして収集したデータはノートブック六千ページにも及んだ。(p.556(解説ページ))

それを三四三ページの作品にまとめたというのであるから、よほど目の細かいフルイにかけて厳しい取捨選択が行われたにちがいない。その過程において作者の見解と個性が大いにものをいっていると考えてよい。しかも、目撃者とか証人とかの言葉もテープレコーダーといった機械を使用せず、まったく作者の驚くべき記憶力によって脳裡に記録されたと言われる。(p.567)

 

 

 

2019-08-25