たしなみ

この1カ月、よくお酒を飲んだ。
といっても浴びるようにではなくて、晩酌、仕事を頑張った日の週末の昼など、回数が多かったということ。

それで気づいたが、私はあんまりお酒が好きじゃないらしい。
味は好きだけど、胃にダメージが蓄積するのがわかる。
飲むとしばらく、薬を飲めないのも調子が狂う。
今年クラフトビールの味を覚えて、いろいろ探索してきたけど、好きな味に偏りがありすぎる。
好きなところと好きじゃないところを天秤にかけたときに、好きじゃないところのほうが多い。

気持ちの切り替えができる嗜好品。
コーヒーや紅茶、スイーツ。
どれも体が受けつけない。
あんまりお酒が合わなさそうなのに飲み続けていたのは、まだ自分が楽しめる余地のある嗜好品を手放したくなかったから。

手放したら。
生活が、実直な学生のそれみたいだ。
仕事、勉強、読書。
白湯、水、炭酸水。
仕事、勉強、読書。
白湯、水、炭酸水。

まあ、それもいいか。

気持ちの切り替えために、スキンケア、ヘアケア、ファッション、運動を楽しみたいなと思っている。

結婚記念日

結婚して10年目に入った。
人生の1/3以上を一緒に過ごしているというのは、なんだか不思議だ。

毎朝「おはよう」と言って、毎晩「おやすみ」と言う日々を繰り返している。
10年前より確実に年をとったのに、10年前みたいな感覚で、毎日を新鮮に迎える。
それが私だけのことじゃなくて、彼もそうらしいのが、すごいと思う。

さっき彼のワイシャツのアイロンをかけた。
我が家はおのおのが得意な家事をすることになっている。
私がアイロンをかけている間に、彼は部屋の掃除をする。

アイロンをかけ終わって、「できたよ~」と言ったら、「ありがとうね~」と近寄ってきて、シャツをハンガーにかける私の背中に抱きついてきた。
「ありがとうって言ってくれることにありがとうよ」と言ったら、重ね重ねの礼が返ってきた(きりがない)。

月日を経て慣れたところと、月日を経ても慣れたものとして扱わないところとのバランスが絶妙。

この10年は変化が激しかったので、次の10年は穏やかに暮らせるといいな。

年々痛くなる

PMSがきつい。
昔は落ち込むだけだったのに、最近は体に来る。
朝、腰が痛くて起きられず、37℃を超える微熱が続き、今回は悪寒と脱力も出た。
いよいよコロナにかかったかと思ったけど、喉や胸の症状がない。
こりゃ生理かなと寝込んでいたら、来た。

コロナになったらもっと苦しむんだろう。
気を引き締めなおして、感染対策しようと思った。

 

 

今週のニュース

「エイリアンが侵略してきたんだ」
7月9日、土曜日。
朝一の映画を観に行く電車の中で、夫が私にスマホを見せた。
オンラインゲームの、架空の宇宙の、架空のメディアが報じる、架空のニュース。

「ベイビー・ブローカー」を観た。
Lサイズのポップコーンを、朝食代わりにたいらげた。
主人公の男が、最後までブローカーだった。

昼食で黒豚屋に入り、ローストポーク丼を頼んだ。
彼の生姜焼きのほうが、当たりだった。

夕食は巻き寿司にしようと合意し、デパ地下で材料を買った。
「今度会う取引先に贈りたいから」と、ひつまぶし茶漬けを買いに行く途中で、長野県のおやきの店が目に入った。
彼は「野沢菜がおいしいんだよ」と言って、なめらかに行列に合流した。
店の盛況ぶりに反したワンオペで、待った。

書評欄を読みたくて、土曜日だけ新聞を買うことにしている。
といっても7月からだから、まだたいした習慣じゃないんだけど。
駅のホームのベンチに彼を残し、構内のコンビニに行った。
毎日が売り切れ、朝日はあった。
「朝日だけ買うかー」と手に取ろうとしたときに、黒くて大きなゴシック体の見出しが目に入った。
3文字くらいだ、見えたのは。
でも、前日の事件の記事だとわかった。

買わずにベンチに戻ると、彼がスマホで何かを読んでいた。
彼も事件のニュースを追ったりするのかなと思って覗き込んだら、おやきの製法と味の違いについての記事だった。

 

ママンの不在

実家が苦手だ。

ひねくれた思春期。
心理学の本を読み漁って原因探しをした20代。
親とうまくいっている人たちに憧れた。
「自分が親と同じ年齢になったら理解できる」という言葉を頭の片隅においていたけど、さらさら理解できなかった。

連絡を絶って何年にもなる。
薄情を通り越して無情だ。
「母のせいでなんちゃらかんちゃら」と思うこともなく、無。

無なんだけど、数字だけは消えない。
実家関連の日付は、前日くらいから調子が悪くなる。
誕生日とか、命日とか、誕生日とか。
頭にもやがかかったようになって、ぼんやり、じとーっと、思い出がへばりつく。
嫌だったことが、リピート再生され続ける。

今週はカミュの『異邦人』とサガンの『悲しみよこんにちは』を読んだ。
偶然にも、母親の不在が根底にある話。
いないのに、出てこないのに、不在としてそこにある。

台風と共に嵐は去った。
次は9月。